たとえどんな投稿がこようとも…
書いてやろうじゃねえか…!
どんな無茶ぶりも応えて見せるっ…!

そんなスタンスで、
無茶ぶりリクエストに対し、
1000文字前後の全力で
3人の管理人が挑みます。
−企画 panic room!−

第二弾 採用お題
【1,2,3,4,5,12,16隊長の
弱点を思わず知ってしまう!






その日、
なんとなく見たマルコの背中。

良い目で水平線を見据えて。
堂々とした姿を風が煽って。


まるで海の子!といったその佇まいに、憧れが増して溜息をつく。しかし今日もかっこいいなと眺め続けていた憧れ像が、突然。ほんの一瞬ぐらついた。

強風に煽られた腰布が暴れ、シャツから覗く横腹を叩き。それにびくついたマルコは慌ててそこを擦る。


その時は見て見ぬふりをして通りすぎた。なんだか見てはいけないものを見た気がして。でもあの意外性は中々忘れられるものではない。あんなにも…あんななのに…彼は横腹が弱いのだろうか。そう思うと、手を出したくてウズウズが止まらない。




「マールコ。好きっ」

「なっ…なんだよい」


背後を取ることはできない。
だから正面から抱きついて、
驚いた隙を頂く事にした。


「こっ……ら!何してんだよい!!!!」


くすぐっていた手をべしべし叩き、慌てて飛び退いたマルコは息を切らしながら懸命に脇腹を擦る。最強の男達だと思っていたのに、この筋肉質な脇腹は最強じゃないらしい。

じゃあ他の名だたる隊長方はどうなんだと、ふと思い。取り敢えず出くわした順に試していく事にした。



「エースエース、あのね!」

普段のように、嬉しい事があったのだと、報告するフリで正面から抱きついて。なんだなんだと両手を広げた所を隙あり。


「ばか…っやめろ…っ!!!」


グネグネ揺れる体からべりっと剥がされて、そのまま両肩に手を置かれ。


「お前な、ダメだぞ。そういう事したら!」


結果、真っ赤な顔で真剣なお叱りを受けた。次に見つけたのはジョズさん。彼は他の誰より硬いんじゃないか。


「ねぇジョズ、自分の名前10回言って」

「ジョズジョズジョズっ……ジョわ!?」

「ジョワですね、ありがとうございます」



ここまで来ると、こなれてきた。
大体予想もつく。
きっと誰もが横腹には弱いんだ。


「えーん!サッチちょっと聞いてよーっ」

「んー?なんだ?ほらおいでー」

「ほっ…グあっ…!ッヒ?」

「あ、逃げないんだ…これは新しい」

「ひっ、ひひハハへへッやべぇ!なんだこれ幸せか!!!」

「ありがとうございました」



「ビスタさんお願いです。研究中なんです、私にワルツを教えて下さい」

「む、ああ。海賊であろうと教養も大事か。いいだろう」

「よろしくお願いします」

「先ずはこうしてパートナーと組む。フロアを反時計回りに、私が足を引いたらそこに一歩目を。そう。ハイ、ハイ、」

「ハイーッ……!」

「…あの…ごめんなさい。でもいい研究ができました。ありがとうございます」





「ハルタ君、お願い。ウエスト図らせて」

「いいけど何かするの?」

「うん。ちょっとね。くすぐるだけです」

「え?…っっ…ユメっ!ちょっ、あははははハハハ!!!クソっ…!後でっ…ハハハ覚えとけよっ!!」

追っては来ないと知ってるけれど、流石に猛ダッシュで逃げた。


今日はここまでか。
そう思って戻ろうとしたけれど、影から座り込んだ誰かの足が見える。


「あ!いたいた、イゾウさん」

「どうしたユメ」

「髪を結って欲しいんです、綺麗な整え方を覚えたくて」

「こっちきな」

上機嫌な彼の前に座り、
瞬く間に纏められた自分の髪を撫でてみれば、本当に何のほつれもなく、スマートに止まっていた。


「どうだ」

「わあ…これどうなってるんだろ」


ペタペタと流れを確かめる手を、
可笑しそうに弾む声。


「こっち向いてみな」


向き直って反応を伺えば、上出来だと自画自賛。そのあと言われた笑顔の「可愛い奴」に流されそうになり、うっかり研究を忘れる所だった。


「ありがと、イゾウさん」


撫でてくれる腕の下、
隙ありな横腹辺りの服を掴んで。
ちゃんとお礼を言ってから、
くすぐってみた。




「あっ…ア゙ア゙?てめぇ……」


イゾウさんは一番反応が薄かった。
でも一番はじめの、
あの上ずった声は忘れられない。
その後の冷たい目線も。



結果として、誰もがこちょこちょに弱い事が解った。そして屈強な男達が簡単にそんな隙を見せる程、私を可愛がってくれているのだという事も。



【思わぬ研究結果】



嬉しくなってだらしない顔をする私はこの時、忍び寄る復讐の影にも気付きはしない。しかしそれもまた、彼らへの愛ゆえ。

 


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