プレマイ祭り![美味しそう]
こんなプレマイ読みたいな より
リクエスト
※※閲覧注意※死ネタ※※
※※病院で息を引き取る系※※
:BGM
:少年時代(あの夏のルカver.)ヨルシカ
行き先がある様で無い。
どこかふらっと行こうかと思いつつも、信号で引っかかる度に帰ろうかと迷う投げ槍で軽薄な意思のまま、疲れたからこそ帰りたいんだ、それならより美しく空を見たいなと、行き先が決まった。
ハンドルに伸ばすしかない無防備な腕を、焦がすように日光が全面にプリズム、空調はまだ準備が整っていなくて蒸すから、追い詰められたように喉元を汗が垂れた。
もう少し走らないと、
まだクーラー効かないなと思う。
免許取り立ての頃、
隣に乗った君が教えてくれた。
走らなければクーラーは効かず、それでも耐えられないから開けろと騒ぎ立て。少しだけ開けるつもりがボタンが解らなくて、
交差点のど真ん中で四つ窓を全開にしてしまった私は、アイツの大迷惑ド熱唱を夜の街に垂れ流したんだ。
もう少し、
ゆっくり着きたいのに、
そんな時に限って道路はすいてる
あの頃はこんな簡単な道路すら怖くて時間を掛けたのに、今ではゴールまでに時間をかけたい。願いは叶わないまま、ナビが示した予定より、うんと早く省略して着いてしまった。
雪を失ったスキー場は、
剥き出しの緑が青によく映える。
もう少しくっきりコントラストを感じたいのに、中途半端な入道雲が、二人で落としたソフトクリームみたいに繋がって解けて、流れていくせいで、深い群青を見せてはくれなかった。
近くの草と遠くの枝の緑が、
窓を叩く蜂が、
ソフトクリームの速さが。
同じ風が吹いているのに、
それぞれ違うリズムで揺れていて、
あまりに鮮明で涙が溢れた。
遠い昔に夢見た"未来"とは、
今であると誰かが言った。
ならつまり、今の私は、昔の自分が夢見た、夢のような世界に居るらしかった。
結果から言うと、違う。
だから、ほんの少しだけ胸底からリークしたそれが、私をやっと本当の目的地へ運んだ。
「ひざし、ひざし、」
大人しい心電図は、もう、私の隣で歌ってはくれない事を物語る。違う味を分け合うために、傾けたソフトクリームを二人して落とす事は、もうないから安心しろという。
サプライズデートで喧嘩別れしたのに、ナンパされた私を見て相手をぶっ飛ばした事も、嫉妬を謝れない頑固さも、もう無かったことにしようよと。私を温めるのには、君の未来でもオマケしてくれなきゃ、36度だけじゃ足りないのに
雪を剥げば一面緑、夏の素直さ、だなんてさ。今頃溶けてもさぁ、遅いんだって昔の私。
何を夢みているんだよ、お前の幸せはそこなんだよ。今すぐひざしに走って、抱き締めて謝るんだよ。
そいつ、あんたが夢見た乙女がちなサプライズ考えて、右のポケットにはバレないように剥き出しの指輪が入ってるんだよ。そこでホントは寂しい好きだって言えれば、ひざしはムキになって投げ捨てに行ったりなんかしないから。
なんで走ってくれないんだよ私。お前の未来は夢では無いよ。ひざしが居ない夢なんかあるのかよ。全部捨ててでも、走ってよ。
「おきて、ひざし」
ひざしが居なくなったら、私の声は亡くなってしまうよ。お喋りな心が亡くなってしまうよ。私は、君に言えなかった分まで、心くらい君みたいにお喋りでいたいよ。
「ひざし、愛してる」
「…オマジナイ、かけてやる。風が吹いたら、それ、俺が、隣で、愛してるって…言ってる」
「解った」
「ユメ、愛してる」
自分の人生に、自分でカウントダウンを付ける馬鹿ひざしの指が3、2、1、と減っていく。
はたりと、なんのサインも残さない緩いフォルムのまま停止した掌ごと、沢山のコードと私の人生を抱き締めた。終わりに煽られて、電子音が元気よく泣いた。
Little bit Heartbeat
&
0bit Heartbeat
自動ドアがガタガタ言ってる。
私を外へ迎えたセンサーは、
容赦なく夏嵐を浴びせる。
帰り道、カーエアコンはつかなくなっていた。仕方なく窓を全開にして、それでも熱さは首筋を流れるのに、本日過去最高気温を更新しましたと、何度もしつこくラジオが流れた。
―――
夏の季語
夏風:夏に吹く普通の風
夏嵐:特別強い風の場合は夏嵐という
Little bit: とても小さい、わずかの、ちょっとの、若干。量/程度/時間などが“少ない”ことを表す。little/bit よりもさらに小さい。
音楽においてのbit:解像度
数値が大きい程クリア、低い程雑音がある。
(0だともう無いのにクリアよりクリアだったらいいな。形は無いけど確かにあるものが0bitだったらいいなという管理人の想像)
heartbeat:鼓動