BGM:MAROON5/memories



ラジオから流れてくる【MAROON5のmemories】を聞いて
心ざわつく山田と相澤が見たい
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いろんな「プレマイと山田ひざしが切り替わる瞬間」が見たいです、お気に召しましたら…ぜひ… マロリク

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偲ぶお話、懐古です。
負担になる方は閲覧を御遠慮下さい。
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ハローハローマス










僅かでも楽しみを。仮装したがる生徒のために放課後の教室を開け、自分は一人敷地をアテもなく歩いていた。垣根から飛び出した気配は白い猫で、長めの靴を履いていたものだから思わず彼女を思わせるな、と溜息を逃がす。置いていくフリをして思わせぶりに振り返った顔は目元に二つのブチ模様で、益々よく似たもんだと緩く足を進める。
余裕げにゆったりとくねる猫は置いていく気はないようで、よく晴れた群青にも一つ、白が無いなと過去を見上げた。



「なあ!解る!?誕生日が祝日だった俺の悲しみ!!」
「今からやればいいだろー?なぁショータ」
「オメデトサーン」
「棒読みィィィィ!!違う!違あああう!もう終わっちまったんだよぉ」
「うっせぇな」
「おいコラ山田ぁ!!!お前また放送室のマイクぶっ飛ばしたのか!!」
「…ヤベェ」
「職員室来い!」
「Nooooooooo」

「これはしばらく戻って来ないな…。ショータ、ちょっと講義室の倉庫漁りに行こう」
「何すんだよ」
「余った短冊取りに行くんだ、祝ってやろーぜ」
「…いいけど」

役目を終えた季節行事の制作物が眠る倉庫には、一年の全てが雑多に詰め込まれて埃をかぶる。七夕を終えた笹は使われた道具と共にここへ仕舞われる筈だった。

「なんで無いんだ?おかしいな」
「仕舞う場所変えたとか」

辺りを物色する白雲はツリーを倒し、新入生歓迎会用の花を踏んで潰してしまった。おっと、と手を掛けた白い布は埃を撒きながら白雲の頭へ、それが隠していた文化祭のイーゼルは白雲と共に倒れ、ジャックオランタンの絵画が落ちた。

「アレぇー?教室じゃなかったのかよ。こんな所で大暴れェ?」
「もう終わったのか?」
「意外と短かったぜ。自己申告しろって諭されて終わった」
「…してなかったのかよ」
「朧はそんで…何してんの…オバケごっこかァ?」
「…あったぞショータ!!」

身体は未だ白い布に覆われ、端から伸びた足とその先の構内用スニーカーには枯れた笹の葉が蝶々に絡まっている。早急に布から手だけを突き出した白雲は、一枚だけ落ちていたホログラムの短冊を突き出した。

「ひざし!誕生日おめでとう!過ぎたけどな!」
「最後が余計だぜぇー!!?」
「……オメデトサーン」
「棒読みジョーズだねぇ相澤くーん??そんでカラッカラの拍手センキュー!!」
「…しっかしコレ、ツルツル過ぎて字なんか書けねぇな」
「そのままでいいんだよ。見ろ!裏も表もギラギラだ、ひざしみたいだろ!」
「Fuuuu!!裏も表もウルセェェエ!」
「ショータもなんか無いと狡いよな」
「なんで俺…別にいいだろ」
「…おう、いいの落ちてるわ」
「落ちてるのあげるワケー?!」
「ショータ!おめでとう!」
「何にだよ…」

白い布の下には白雲意外に色んな物が隠れているらしい。次に出した掌には消しゴムが乗っていた。

「…消しゴム…」
「…っ…ぶは、イレイザー…っくく…ぴったりジャーン!」

「コラァ!!またお前らかぁ!何やってんだ!!」

伝染していく笑い声でバレてしまい、うるさい短冊とデッサン用の消しゴムを隅に置いて、命ぜられた通りに片付けをする事になってしまった。

「巻き添えエエエ」
「まあまあそう言わず。おっと、蜘蛛付いてるぞひざし」
「ヒィいやああああああ」
「はっはっはっはっ嘘だ嘘」
「個性無駄遣いさせんなよな…早く終わらせるぞ」



「先生!トリックオアトリート!」
「ノンノンリスナー。trick、or treat。リピーt」
「早く先生!」
「最後まで聞けえェ?!」

この日のために少しばかり飴をポケットに詰めていた。既に列を作ってしまった数人の発音に節介を焼くうちに、一つずつポケットが元の形に近づいて行く。

ドラキュラ、エンジェル、デビル、赤ずきん。
狼男、フランケン、キョンシー。

次はミイラと…シーツのお化け


「トリックオア、トリート」


ミイラで手の感覚はゼロだと解っていた。
探す必要は無かった。それでも急速な懐古を拾った手は勝手にありもしない内ポケットまで確認しに行く戸惑いをみせる。

「悪ィ、今ので無くなっちまった」

突然走り出した男子生徒は廊下の奥へ消えようとする。しかし踵を返した瞬間の足元に萎れた笹の葉の幻想があった気がして、後を追うように走り出していた。

角を曲がる事に、白い布がまた曲がる。
そう遠くはない導かれ先は、まさかの講義室だった。
講義室の中扉を開ければ講義室倉庫がある。しかしその倉庫の扉は開いたまま。

「…て、コラァ!勝手に何してる!!悪いリスナーは職員室行きにすんぞォ」
「あー、バレちゃった」
「スイマセン…」
「せっかく綺麗に片付けたのによォ。ほら…手伝ってやっから一緒にやれ」
「はーい」

行事ごとに順を追って部屋の隅へ詰める。一度崩れた小物はイベント名が記されたダンボールへ手分けしてさばかれていた。新入生歓迎会、文化祭(お化け屋敷用)、クリスマス。大人でもアルバムを開けば止まるもので、半分子供ならまあ当たり前だろう。手際よくはあるがいちいち物色が始まった。

「このジャックオランタンの絵って誰が描いたんだろう?上手だね」
「ハーイ、じつはー、俺デース」
「はいはい解った解った凄いスゴーイ」
「おいおい棒読み過ぎるぞ!心どこに置いてきた!」
「仕方ないな、込めてあげるよホラ」
「適当な拍手だな!からっからだぞ!」
「ちょっとうるさい!早くやってよ!」
「ねえお化け屋敷の箱にあったの、呪いのラジオだって!」
「御札ついてんじゃん…本格的」
「付くのかなコレ!」
「わあ動くじゃん!…流れた!」
「そりゃ小道具だから当たり前でしょ」
「ここ虫出んだよ…早く終わらせようぜリスナー」
「…先生…背中に虫」
「…whaaaaaaaa!??!!!」
「嘘です」
「……勘弁してェェ」

埃を逃がすために窓を開ければ、
窓を越えて飛び込んだ一匹の猫と、
それを追うイレイザーが窓枠に足をかけた。

「お前達…何してる」
「相澤先生まで!」
「やだ怒られる…居残り確定だ…」
「わあ可愛い猫」
「オイ…なんでお前まで居るんだ」

気まぐれが掛け流す偲ぶ歌に揺られて、
騒ぐ声が思考をぼんやりさせていく。

「真っ白」

足元に擦り寄る猫を形容した言葉だけが違った意味に聞こえ、思いを馳せたせいだと大きく息を吸った。

「相澤先生、これ落し物ですかね?どうしますか」
「なんだ?」
「消しゴムです。新品の」

見えずとも背に映したように表情が浮かぶ。
恐らく同じ衝撃がある筈で、
二人して手が止まってしまっていた。

そして失くしたものを掘り出されたのは相澤だけでなく、自分にも用意されていた事に、サングラスの下に隠して堰を切ってしまっていた。

「マイク先生、コレはゴミですか?」

二人目の生徒の手にも、
あの日二人して無くしてしまった、
裏も表もうるさい短冊が握られていた。

「………違う」
「夏用の箱にしまいますか?」
「…イヤ、センセが預かるわ」

「センセ。肩にくもが居るよ」


「ウッソー!…えぇ?…泣くほど怖いんですか」
「…あったりめぇだろ!世界一だワ!…」
「相澤先生まで猫抱いてうるうるなんですけど!」
「やっと見つけたんでな」
「乾き目が潤って猫に感謝ですね先生!」
「調子乗ってると全員居残りにするぞ」
「ホラ!もういいからリスナー達は戻れェ」
「はーい。スイマセンでしたー」

それぞれに消しゴムと輝く短冊を握り締め、
開けてやった戸の側で、
廊下を駆けていく生徒を見送る。

ドラキュラ、エンジェル、デビル、赤ずきん。
狼男、フランケン、キョンシー。

次はミイラと…シーツのお化け。


「…朧」

小さく零れた声は重なった。

中庭へ戻してやった筈の白い猫を連れて、白い布を翻す靴元には枯れた笹の葉の翼を付け、ギリシャ神話の英雄を思わせる。

静かに振り返った白い少年はこちらへ向かって手を振り、跳ねる楽しげなリズムで、間をくねり歩く妖艶な白猫をかわしながら朧に霞み、廊下の奥へ消えた。

【ハローハローマス】


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ギリシャ神話 ヘルメース
商業の神であり旅人の神であり使者の神。
そして泥棒の守り神ともされている。
翼の生えた靴を履いており、風よりも早く走り、
手には使者の役を示す杖を持っている。
神々の中でも最も頭が鋭く、
ずる賢く、 すばしっこい神である。

能弁、境界、体育技能、発明、策略、夢と眠りの神、死出の旅路の案内者などとも言われ、多面的な性格を持つ神である。

幸運と富を司り、狡知に富み詐術に長けた計略の神、早足で駆ける者、牧畜、盗人、賭博、商人、交易、交通、道路、市場、競技、体育などの神であるとともに、雄弁と音楽の神であり、竪琴、笛、数、アルファベット、天文学、度量衡などを発明し、火の起こし方を発見した知恵者とされた。

ギリシア神話のトリックスター的存在であり、
<文化英雄>としての面を有する。

文化英雄
火や作物の栽培法などの有意義な発明や発見をもたらし、人間世界の文化に寄与したとされる伝説的人物の事


ギガントマキアー
ギリシア神話における宇宙の支配権を巡る大戦の名前で、巨人族ギガース達とオリュンポスの神々が戦いを繰り広げた。
ギガントマキアーにおいてヘルメースは、
ハーデースの隠れ兜を被って姿を消し、
ギガンテスの一人ヒッポリュトスを倒している。

10/31その夜は死者と生者との境が弱くなる時間だといわれる。かがり火は、生者の間を歩き回るといわれる死者と無秩序な魂を追い払うためにたかれ、光と太陽が戻るメーデー(5月1日)を祝うことにつながる。
暖季の始まりを春の祭り(五月祭)
寒季の始まりをハロウマスの祭り
春の祭りの前夜はワルプルギスの夜と呼ばれ
魔女がサバト(集会)を開くとされていた

あとがき。最後の飴はひざしが部屋に置いてある三人の写真立ての前に一粒置いてから出掛けたから一粒足りなくなってしまった。お菓子を渡せなかったからイタズラして貰えた、そうだったらいいな。

 


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