1H.アタック お題交換遊び
BGM::Like strangeers Do/AJ Mitchell
「どっちが好き?」
「どれもユメちゃんに似合ってんねぇ…正直捨て難いな」
「違うよ。マイクさんが、好きな方」
そう踏み込めば、全く系統違いの二着と私を交互に見て、勝手に愛でるような余韻を含ませておいて、都合が悪そうに瞳を反らせて逃げていく。
「give you everythiiing、だよ」
「…なんて?」
「ぜーんぶ、ね。」
口笛を吹きながら、またご機嫌なフリを持ち直して、勝手に会計を終わらせてしまった。
私が二つを迷えば、
この人はどれも持たせようとする。
巧みに笑わせながらカウンセリングをして心に踏み込み、どうしたいかを見つけ出して、そうしたかったんだよ。と、ふたりごとの様に叶えて、勝手に嬉しそうに微笑んで、一人で噛み締めて、一人で想いを抱きしめて。
私には欲ばれっていうのに、この人は一つも欲張ってくれはしない。勝手に踏み込むのに、私にはその余地をくれはしない。
「少々お喋りが過ぎるから押し付けるなと言われるよ」と教えてくれた日、伏し目がちな憂いの先を通り過ぎた強気な色したスカートを見てしまって、一体貴方は、記憶の中の誰の裾を見ていますかなんて聞けもしなかった。
代わりに、それでも私は知りたいわと言えば、中々に怖ぇよと笑い飛ばして「良薬口に苦しだな」と、いつかの傷心の原因をすり替えて、それでも受け止めたがる私を良薬呼ばわりした。
それは良薬でも、
飲み込めない薬なんかでも無い。
ただの過去の痛手なのに、"ぜーんぶ"なんて言えてしまう程の微笑みをくれる癖に、これじゃあ私が怖くて仕方ないみたいだ。
マイクさんはなにがお好き?
どんな味が好き?
何が嫌い?どんな音楽がすき?
どんな景色に心が踊るの?
貴方の本能は今、
何を感じているの?
「マイクさん、もう帰る?」
「ユメちゃんは」
「…おかわり」
「I'd love tooo」
手を取った軽やかな足取りはいつだって、私の好きそうな場所へ向かう。きっと次は昨日お話した、私が気になっていると言った夕陽が綺麗に見られる場所へ向かっているんだ。
夕暮れたショッピングモールを包む空は、もう時期オレンジの端に夜を連れてくる。人の気配が薄れた小洒落た石畳に伸びる影が、全てを繋ぎ合うように連なるのに、そう思うとどこか哀しくて。
勝手にへそを曲げた私は、彼の足取りを切り替える様に先陣を切った。
「どしたの?」
本当はおしゃべりな癖に、なんで私にだけは秘密なんだろう。なんで心の声は教えてくれないんだろう。もう知っているのに。私の全部を大事に抱き締めてくれていること。
たった二着から選べない私に、
私が着るのならどれも同じだと。
もっと二人でいたい我儘を、
君と同じだと。
違うのよ。
私が貴方に似た夕陽を好きでも、朝日だったらまばゆく私の朝を彩る筈で、例えば刺すような直射でも、私はきっと胸を打たれたのよ。
貴方が笑えば笑うほど突き放されていく。優しくされれば優しくされるほど足りなくなる。
私はあなたの事
なんにも知らないのにさ
植え込みの傍にぽつんと置かれたベンチの前で足を止め、一歩遅れてきた彼の胸板をツンと押せばいとも簡単に座ってくれて、開かれた脚の間に立って見詰めれば、心配そうにする顔が傾いていく。
「もう私の事、聞かないで」
「どして、…ユメちゃん?」
聞きたくない
愛のテーマソング
君の全部が、なんて
もう聴きたくないのよ
「貴方の事が聞きたいのに」
不安げに揺れる瞳に罪悪感がした。
一つも教えてくれない臆病な唇に人差し指で触れれば、繋いだ手に戸惑いの柔らかなノックが伝わる。
「隠して…おきたいの?」
「それは」
「苦しそう…だったら私が吐き出させてあげるよ」
甘い霞で誤魔化してないで、
全部見せてよ。
私が、ぜーんぶ飲んであげるよ。
「飲めないお薬はこちらへどうぞ」
ゆっくり口を開ける動作を揺れる瞳が追いかけて来るのが解る。つられて開いていく隙間ごと食べる頃、次は強く握り返された手に引かれて、脚の上に乗せられた私は夢見心地で彼が飲み込めなかった物に喉を鳴らした。
不機嫌さ 戸惑い
二人分の、もっと。
折れ重なってしまった呼吸が忙しくって夕陽を逃した二人は、それでも夜に隠れて混ざりあう様に唇を重ねた。
ご機嫌をとりあった帰り道、
俺が私が、と折り合いが付かず、
二人でぶら下げていた紙切れひとつで繋ぎとめた指先から、ついに強気な色したスカートが入った袋が落ちた。
1H.アタック お題交換
::頂いたお題
折れ重なってしまった呼吸
飲めない薬はこちらへどうぞ
聞きたくない愛のテーマソング
紙切れひとつで繋ぎとめた指先
MAIN
BGM::Like strangeers Do/AJ Mitchell
「どっちが好き?」
「どれもユメちゃんに似合ってんねぇ…正直捨て難いな」
「違うよ。マイクさんが、好きな方」
そう踏み込めば、全く系統違いの二着と私を交互に見て、勝手に愛でるような余韻を含ませておいて、都合が悪そうに瞳を反らせて逃げていく。
「give you everythiiing、だよ」
「…なんて?」
「ぜーんぶ、ね。」
口笛を吹きながら、またご機嫌なフリを持ち直して、勝手に会計を終わらせてしまった。
私が二つを迷えば、
この人はどれも持たせようとする。
巧みに笑わせながらカウンセリングをして心に踏み込み、どうしたいかを見つけ出して、そうしたかったんだよ。と、ふたりごとの様に叶えて、勝手に嬉しそうに微笑んで、一人で噛み締めて、一人で想いを抱きしめて。
私には欲ばれっていうのに、この人は一つも欲張ってくれはしない。勝手に踏み込むのに、私にはその余地をくれはしない。
「少々お喋りが過ぎるから押し付けるなと言われるよ」と教えてくれた日、伏し目がちな憂いの先を通り過ぎた強気な色したスカートを見てしまって、一体貴方は、記憶の中の誰の裾を見ていますかなんて聞けもしなかった。
代わりに、それでも私は知りたいわと言えば、中々に怖ぇよと笑い飛ばして「良薬口に苦しだな」と、いつかの傷心の原因をすり替えて、それでも受け止めたがる私を良薬呼ばわりした。
それは良薬でも、
飲み込めない薬なんかでも無い。
ただの過去の痛手なのに、"ぜーんぶ"なんて言えてしまう程の微笑みをくれる癖に、これじゃあ私が怖くて仕方ないみたいだ。
マイクさんはなにがお好き?
どんな味が好き?
何が嫌い?どんな音楽がすき?
どんな景色に心が踊るの?
貴方の本能は今、
何を感じているの?
「マイクさん、もう帰る?」
「ユメちゃんは」
「…おかわり」
「I'd love tooo」
手を取った軽やかな足取りはいつだって、私の好きそうな場所へ向かう。きっと次は昨日お話した、私が気になっていると言った夕陽が綺麗に見られる場所へ向かっているんだ。
夕暮れたショッピングモールを包む空は、もう時期オレンジの端に夜を連れてくる。人の気配が薄れた小洒落た石畳に伸びる影が、全てを繋ぎ合うように連なるのに、そう思うとどこか哀しくて。
勝手にへそを曲げた私は、彼の足取りを切り替える様に先陣を切った。
「どしたの?」
本当はおしゃべりな癖に、なんで私にだけは秘密なんだろう。なんで心の声は教えてくれないんだろう。もう知っているのに。私の全部を大事に抱き締めてくれていること。
たった二着から選べない私に、
私が着るのならどれも同じだと。
もっと二人でいたい我儘を、
君と同じだと。
違うのよ。
私が貴方に似た夕陽を好きでも、朝日だったらまばゆく私の朝を彩る筈で、例えば刺すような直射でも、私はきっと胸を打たれたのよ。
貴方が笑えば笑うほど突き放されていく。優しくされれば優しくされるほど足りなくなる。
私はあなたの事
なんにも知らないのにさ
植え込みの傍にぽつんと置かれたベンチの前で足を止め、一歩遅れてきた彼の胸板をツンと押せばいとも簡単に座ってくれて、開かれた脚の間に立って見詰めれば、心配そうにする顔が傾いていく。
「もう私の事、聞かないで」
「どして、…ユメちゃん?」
聞きたくない
愛のテーマソング
君の全部が、なんて
もう聴きたくないのよ
「貴方の事が聞きたいのに」
不安げに揺れる瞳に罪悪感がした。
一つも教えてくれない臆病な唇に人差し指で触れれば、繋いだ手に戸惑いの柔らかなノックが伝わる。
「隠して…おきたいの?」
「それは」
「苦しそう…だったら私が吐き出させてあげるよ」
甘い霞で誤魔化してないで、
全部見せてよ。
私が、ぜーんぶ飲んであげるよ。
「飲めないお薬はこちらへどうぞ」
ゆっくり口を開ける動作を揺れる瞳が追いかけて来るのが解る。つられて開いていく隙間ごと食べる頃、次は強く握り返された手に引かれて、脚の上に乗せられた私は夢見心地で彼が飲み込めなかった物に喉を鳴らした。
不機嫌さ 戸惑い
二人分の、もっと。
折れ重なってしまった呼吸が忙しくって夕陽を逃した二人は、それでも夜に隠れて混ざりあう様に唇を重ねた。
ご機嫌をとりあった帰り道、
俺が私が、と折り合いが付かず、
二人でぶら下げていた紙切れひとつで繋ぎとめた指先から、ついに強気な色したスカートが入った袋が落ちた。
1H.アタック お題交換
::頂いたお題
折れ重なってしまった呼吸
飲めない薬はこちらへどうぞ
聞きたくない愛のテーマソング
紙切れひとつで繋ぎとめた指先