いたいのいたいのとんでいけ


2022/07/27 ▽私の王子様

出会ってからずっとずっとアヤトくんは私の神様だと思っていた。神様だから、私のところまで降りてきてほしくなかった。
ずっとずっと私のことを見下ろしていてほしい。昔の、残虐で非道で私のことを虫けらのようにしか思っていないアヤトくんのことが大好きだった。アヤトくんがそういう人だったから、あのときの私は救われていた。純粋な好意じゃなく血のために傍に置いてくれるのが私にとってはとても心地良かった。私には血という存在価値があったから。


一緒にいればいるほど私が神様を引き摺り下ろしている感覚がした。それでもどんなに私の近くに来てもアヤトくんはずっと綺麗だった。そんなアヤトくんに私は綺麗な愛を、アヤトくんに相応しい愛を捧げたくて浅ましい、愛されたいという欲を隠している自分の愛を否定し続けてきた。そんなものを神様に捧げるわけにはいかないから。欲なんて一切抱いてはいけない。アヤトくんの幸せを一番に考えて、アヤトくんの意思だけを優先して、必要としてくれる限り傍にいる。それが私の考える綺麗な愛だった。それが中々できなくて、自分の想いを愛だと認めることができずにいた。


でも……きっかけは、アヤトくんが「オレはオマエ無しではいられない」と死のうとしたのを見てからだと思う。
アヤトくんは神様なんかじゃないんじゃないか?そう考えることが増えていった。それまでは神様だと思わないようにしないと、と無理に考えを変えようとしていたけどそのアヤトくんを見てから少しずつ理解していけた。アヤトくんは神様じゃない。愛情に飢えているヴァンパイアの男の人だ。


そして最近、アヤトくんのことを神様にしていないって気がついた。私を救ってくれたことには変わりない。でも神様じゃない。そんな完全な人じゃない。そしてそんな完全じゃないところが大好き。私はずっと嫌だ嫌だと嘆いていた恋を宗教にしてしまう行為をやっとやめられた。


そしてこれを書いていて気付いたことがある。最近彼への独占欲が執着が強まっているのは、彼が神様じゃないから、綺麗な愛じゃなくてもよくなったからなのかもしれない。最近の自分の愛を愛だと認められていることにも驚いている。どんなに違うと言われてもこれは私からアヤトくんだけに捧げる愛だ。自分の想いを愛と呼ぶことが怖くない。これがいいのか悪いのかはわからない。でも私は私の信じる愛し方でアヤトくんのことを世界で一番幸せにする。


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