隣人
六つ子の部屋の窓からは、真ん前にある道路と、すぐ両隣にはコンクリート壁が見える。これは彼らが小学生の頃建っていなかった建物だが、最初こそぎゅうぎゅうに押し詰める様に建ってしまったそれについて、何だか胸がきゅうっとした。自分達を苦しめるように建っているようにも思えてしまったが、それも今では何も思わない。
アパートやマンションなどの建造物が建ち、ぎゅうぎゅうと両脇から松野家が押し潰されそうになっているのを、まだ見慣れてなかったあの頃。時代だな、と父さんが隣で蚊の鳴くような声で呟いていたのを今でも覚えている。
今の都会が随分と狭くなったように思えるのは、高い建物の割合がかなり増えたからだろう。へとへとになるのも忘れるくらい走り回っていた子供の頃は、空はどこまでも続いていて、道もどこまでも繋がっていた気がしていた。今となっては、果てが無い、というあのワクワクとした感覚は薄まってしまった。それは、果たして自分がオトナになってしまったからなのだろうか。
そんな窮屈で退屈で、賑やかな土地に、松野家はある。
松野家兄弟の朝は遅い。十時に起きてまだ眠いと言うのだから、毎朝早くに起きて出勤する大黒柱の父が聞けば憤怒する事であろうがそんな彼は我が子とあまり会話をしない。それよりも早くに起きて家事に勤しむ母の彼女は六つ子の起床事情などより、スーパーの安売りの方が気になるらしい。チラシを見比べてばかりいる。要するに、ニートを抱える夫婦はそこまで息子を見ていない。
建物からそろそろと出て来るのは様々な人達であるが、一人極まって気になるひとが居た。
彼女が出て来るのは大体週に一回で、。
・・・
今の都会が随分と狭くなったように思えるのは、高い建物の割合がかなり増えたからだろう。へとへとになるのも忘れるくらい走り回っていた子供の頃は、空はどこまでも続いていて、道もどこまでも繋がっていた気がしていた。今となっては、果てが無い、というあのワクワクとした感覚は薄まってしまった。それは、果たして自分がオトナになってしまったからなのだろうか。
だとしたら、ひどく侘しい。
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彼女はきっと明日には居なくなるのだろう。
そう思うと、久しぶりにトド松は胸がきゅうっとした。
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