体育館の倉庫の裏の雑木林

 少女からしたら、いつも通り近道をしただけだ。

 いつも決まって彼女が近道をした時、両親は叱った。近道をせず、帰って来るようにというのは両親と娘の決め事だったが、少女はあまり聞く耳を持っていなかった。正しい道順から帰って来るより、体育館の倉庫裏から通る道の方がよっぽど早く家に着くと知ったのは一人遊びに飽きてきた頃だ。すぐ帰る気になれず、いつまでも校庭や校舎をぐるぐる回っていた時、フェンスの向こうにある怪しい雑木林に目がいったのだ。
 彼女は時間を掛けて家に着くより早く家に着く方が、両親の不安は薄くなるだろうと思っている。
 そしてその日も両親の言いつけを守らず伸び放題の腰ほどまである草をかき分けて道を進んでいくと、何やらおかしかった。しかし何がおかしいのかが分からず、少女が頭を捻って考えていた所に物音がした。ガサッ、ザクッ、と土を掘っている音がした。普段誰も居ないこの雑木林に人が居るのが珍しく、少女は好奇心を揺すぶられ誘われるようにして音を辿って行く。
 しかし好奇心は猫を殺すらしかった。

 少女からしたら、いつも通り近道をしただけだ。しかし男からしたら厄介な所にノコノコやって来た小娘だ。

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