はじめてあったひ




  おかあさんというひとはぼくにいいました。いずれぼくは『かみさま』としていきなければならないこと。そうなったら、じぶんじしんのことよりも『とち』や『しんこう』をゆうせんしなければならないこと。なにをされても、うけいれなければいけないこと。

 ちいさなぼくはそれらをなにも『りかい』ができませんでした。それらのことはむずかしくて、ちいさなぼくののうみそでは『しょり』しきれませんでした。ただ『ばくぜん』と、そうしなければいけないんだな、としかかんがえられませんでした。

 しばらくしておかあさんは『うみ』とひとつになりました。とてもさみしかったけれど、きっと『やくめ』をはたしたんだとおもいます。きっと、『やくめ』からかいほうされたおかあさんは、このひろい『うみ』を『じゆう』にただよっているんだとおもいます。そうおもうと、ぼくのさみしいきもちも、やわらいだきがします。

 それはたしか、さくらのはながちりはじめたころだったきがします。ただぼーっとこわい『しんじゃ』のひとの『ねがい』をきいているとき、ふとまどのそとをみました。ぼくはひとりのおんなのこに『しせん』をうばわれました。くろいかみのけがなびいていて、しろいはだとの『たいひ』におもわず『いき』をのみました。ちっていくさくらのはなびらをみつめているそのこは、そのままさくらとともにきえてしまいそうなくらいはかなくて、もうにどとあえなくなってしまうようにかんじました。

 それからしばらくしてほかの『かみさま』が、ぼくに『ちゃんす』をくれました。そのこはまた、すいこまれてしまいそうなまっくろの『ひとみ』でさくらのはなをみつめていました。ぼくはおもわずこえをかけてしまいました。そのこはおおきく『かた』をふるわせ、さくらをみていたそのめでこちらをみました。

「か、かみさま……」
『さくらのはな、みたいですか?』
「えっ、あ、えっと」

 ちいさくちぢこまるそのこをみて、なぜかわらってしまいました。こっちのほうがみやすいですよ とかのじょの『うで』をひくとかのじょはわーわーさわぎながらこちらにころがりこんできました。ぼくの『うで』のなかでちいさくなるかのじょ。なんだかむねがぎゅっとしめつけられるようなかんかくにおそわれました。

『…ほら、ぼくがいたからだいじょうぶだったでしょう?』
「…んぁ……?」

 すいこまれてしまいそうなまっくろな『ひとみ』がぼくのかおをじっとみつめます。はいごでまうさくらの『はなびら』とおなじいろにそまるかのじょのほっぺ。『おもち』のようにまっしろでやわらかそうなほっぺをおもわずかんでしまいました。



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