お誕生日



 夜遅く、誰かに頭を撫でられているような感覚で目が覚めた。そんなことより抱きしめていたものの、いつの間にか腕から抜け出していた奏汰のぬいぐるみを手探りで探していると何者かに手を握られる。家には私以外居ないはずで、意識ははっきりしないもののおもわず目を開く。

「 おたんじょうびおめでとうございます 」
『 ……んぇ…かなた……? 』
「 そうですよ〜 」

 しょぼしょぼする目を開くとそこには優しく微笑んでいる奏汰。仕事でしばらく寮に居るはずの奏汰がいる。普通ならそこには居ないはずの、奏汰がいる。

『 ……ゆめ? 』
「 くすくす、『ゆめ』じゃなくて『げんじつ』ですよ 」

 今年の誕生日は顔も合わせずに終わると思っていた。もしかしたら私の誕生日だということを忘れてしまったのでは、と寂しい気持ちに気付かないふりをしていたので目からはぼろぼろと涙がこぼれる。多分驚きと喜びがごちゃ混ぜになっていたんだと思う。くすくすと笑う彼に飛びつくと彼はしっかりと私を抱きとめてくれた。

『 かなた、かなただ、うれしい、うれしいよぉ…… 』
「 うふふ、あなたは『さみしがりや』ですからね〜、いちばんに『おいわい』するためにちょっとだけかえってきちゃいました 」

 優しく涙を拭ってくれる彼の手はとても温かくて、彼がそこにいると実感する。まさか彼が少しだけでも戻ってきてくれるとは思っていなくて、私はただ泣くことしか出来なかった。

「 おしごとのかんけいもあるので『ぷれぜんと』はまたおやすみがあうひにかいにいきましょう 」

 うん、うんと頷くと彼は優しく私の唇へ口付け、おこしてしまってごめんなさいねと彼は私をベッドに寝かせ、共に布団に潜り込む。彼の方へ寝返りを打てばおいでと言わんばかりに腕を広げる奏汰。もぞもぞと近づけば強い力で抱きしめられる。温かい彼の体温に包まれながら私は再度目を瞑った。


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