父親が運転する自家用車の助手席でぼぅっと流れていく外の景色を眺めながら考えるのは新生活のことでも、生まれてはじめて離れる地元宮城への哀愁でもなくて、一歳年上の兄ーー及川徹のことだった。
何も言わずに家を出た私を、兄はどう思うのだろうか。たとえばいつものように「は?あんな奴いなくて清々するね」と驚くくらい綺麗な笑顔を浮かべながら言い捨てられるのかも知れない。いなくなったことすら気づかずに何時も通り過ごしているのかも知れない。それともはじめから私という存在をなかったものとして私のことなんて忘れ去っているのかも知れない。
どれも容易く想像出来たけれど、兄のことを考えるだけで酷い頭痛と吐き気が止まない。
私と兄である及川徹は
 私が東京の高校へ進学しようと思いたったキッカケは兄だった。






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