真冬と友人01
※zero。
「うっわ…本当にでっかい家だなぁ、というか屋敷か?これ…」
そう呟きながら俺は右手で日除けを作り、その建物を見上げた。
『氷室邸』と前以て説明を受けた時から何となく想像はしていたが、実際に門からしてなかなか立派な構えをしたそこに思わず感嘆の声を漏らしてしまう。
「こういうところって廃墟マニアとかが好きそうだよなぁ…それか胆試し?どっちにしろ、曰く付きって知りながら来る奴の気が知れねぇわ。」
お前の『恩人』ってのも変わった人なんだな。
なんて笑ってみたものの、返事はない。
不思議に思って隣を見れば誰もおらず、振り向けば数歩後ろで足を止めた友人の姿があった。
「雛咲?どうした、早く来いよ。」
「…黒兎、やっぱりお前は帰った方がいいかもしれない。」
「はぁ?お前、ここまで来ておいて今更何言ってんだよ?」
何を言い出すかと思えば、これまで散々押し問答した挙げ句、とうに決着の着いた話。
だからこそ俺は今ここにいるのだが、どうやら雛咲の中ではまだ諦めきれてなかったらしい。
いやむしろ、ここに来てその気持ちがますます強まったのか。
人にはない、不思議な力を持つ雛咲には『何』が見えたのだろうか。
『これは…俺の問題だ。黒兎を巻き込みたくはない。』
曰く付きのここ『氷室邸』にて行方不明となった、雛咲の『恩人』。
詳しい事情はよく分からなかったが、その『恩人』を探しに行くと言う友人に俺は半ば強引に同行を申し出た。
「…お前一人、置いて帰れる訳ねぇだろ。」
雛咲は、俺にとっての『恩人』だ。
「大丈夫だって。俺、お前と違って霊感とかないし。こっちが見えなければ向こうにもこっちは見えないって、確か何かで読んだことあるぞ。」
それにこんな広い敷地だ、雛咲一人で手に負えるものではないだろう。
そう改めて『氷室邸』を見上げた俺に、聞こえてきたのは重々しい溜め息。
そして雛咲はようやく足を一歩踏み出したのだった。
レンサ、スル。
(それなら、せめて俺から離れないでくれ。)
(いや、手分けして探した方が効率良いだろ。)
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嘘つき、ロンリー。