花子くんと不良少年
校舎の壁に寄りかかり、そっと息を吐き出す。
見上げれば青空を左右に両断する、白い線。
その先が次第に薄れていくのを何気なく目で辿っている内に、頭上の人影に気が付いた。
向こうも、その視線に気付いたらしい。
「いーけないんだ、いけないんだぁ。」
まるで小学生のように囃し立てながら、にんまりと笑ってこちらを見下ろす男子生徒が一人。
「せーんせーに言ってやろー。」
地上三階から発しているにしてはよく通る声だと、そう思った。
「…言えるもんなら言ってみろよ。」
「お。なかなか挑発的だねぇ?」
「俺の記憶が確かなら、そこ、女子トイレだろ?」
俺の声が聞こえなかったのか、それとも図星だったのか。
笑みを浮かべたまま応えない相手を見上げて、さてどちらが重罪かと秤に掛けながらもう一服しようとした瞬間。
「よっ、と。」
軽い掛け声と共にそいつは、ふわり、と俺の目の前に降り立った。
黒い学帽に黒い学ラン。
それに驚くより先に、
「ねぇこんな話、知ってるかい?」
その身軽さが羨ましく思えた。
「昔、どこかのえらーい仙人さまが俗世で重くなった身体を軽くするために、香を焚かせてその煙に乗って天に還ったんだってさ。」
その足下には火の着いた煙草が一本、まるで線香のように地面に突き立てられていた。
おもいおもい
(まだまだ、おもい)
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嘘つき、ロンリー。