『竜之介』と男子高校生


昨日、俺は珍しく早起きをした。

と言っても二度寝するほどの時間はなく、少し遠回りしながら登校すればちょうどいいか、とその程度。

ということで、普段通ったことのない道を選んで学校に向かうことにしたんだが。


その途中、道沿いに流れる川の中、ぷかぷかと浮かぶ『それ』に気が付いた。


「……………」


少し迷ったものの、ひとまず水際まで下りられる場所を探し、ギリギリまで『それ』に近付いてみた。

適当な木の棒でもあれば、『それ』を引き寄せてみようとしたかもしれない。


が、俺が何かするより先に『それ』は向こうから寄ってきた…ように見えた。

多分、たまたま川の流れに流されてきただけだろうが、ゆらゆらと揺れる黒髪はまるで魚の尾ひれのようだった。


ふと目が合った、ような気がした。

その口がパクパクと動いた、ような気がした。



そして『それ』が足下までやって来ると、俺はつられるようにその場に屈み込み、何となく人差し指を水面に浸けた。

すると『それ』はさらに寄ってきて、





ぱくっ




「―…それで、アンタもそれ、拾って帰ったってわけ?呆れた。」

「いや、だって腹減ってるっぽかったし、人にも馴れてるみたいだったから…って、俺『も』?」

「だってそれ、竜之介でしょ?」

「りゅうのすけ??」


不思議そうに首を傾げる黒兎君に紙魚子は答えず、ただ肩を竦めて「それで?」と先を促した。


「私に何の用?」

「あぁ、お前の家って確か本屋だったよな?こういう時に役立つ本とか知らないか?」

「だったらちょうどいい本があるわよォ。」


そう言いながら紙魚子がこっちを振り返る。

それにつられて私の方を見た黒兎君は相変わらず不思議そうな顔つきのままで、居心地が悪くなった私はそんな二人の視線からそっと目を逸らすことしか出来なかった。





生首を飼う話


「なーんでみんな、変なものを拾っちゃうのかしらねぇ…?」


(先日起きたバラバラ事件)(その頭部は未だ発見されず)


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嘘つき、ロンリー。