七不思議と『宿直の先生』


※会話文オンリー。










―…ねぇ、知ってる?



噂はいつも、そこから始まる。



―…隣のクラスの先生、行方不明らしいよ。

―…え…あの先生、病気か何かで辞めたんじゃないの?

―…ううん。違うの。それはみんなを怖がらせないために他の先生達が言ってるんだよ。でも本当はね、






「黒兎先生、宿直の日からどこにもいないんだって。」







消えた宿直の先生





「という訳でこちら、そんな噂から実体化した『黒兎先生』だ。」

「えっと、よろしく…?」

「うわぁ…本当、黒兎先生そっくりですね!」

「実体化っつーと、アレか?前にいた露出狂の変態オヤジみたいなやつか?」
 
「露出…え?そんな奴がいたのか?小学校に?」

「いたんですよぉ。というか今もいますけどね、目の前に。」

「ちょ、何でそこで俺見んの?人体模型は全裸が基本なんだよ!」

「そう、そして見られて興奮して、勃起した男性器を落とすのが彼の仕事です。」

「……もしもし?警察ですか?」

「先生、止めてっ!!」

「おぉ…素早く的確な通報、流石教師だな。」

「ニセモノですけどね。それに本物の先生ならまず先輩の煙草を注意するべきじゃないですかぁ?」

「あ?何だテメェ、喧嘩売ってんのか赤マント。」

「は、花子さん!落ち着いてください!」

「ひとまず本題に戻ろう。ちなみに最近の噂では、『自分が死んだことに気付いていない黒兎先生が今でも校内を見回っている』…というのが最も有力らしい。そこで黒兎先生には今日から放課後、校内の見回りをしてもらうことになった。」

「見回り?」

「あぁ、教室に残ってる生徒達に『早く帰れよー』って声掛けたり、『廊下は走るな』って注意したりな。あくまで声だけで、姿は見せないようにするんだ。」

「へぇ?珍しく学校の怪談らしい怪談じゃねぇか。珍しく。」

「そうですね、珍しく!」

「そっスねぇ、珍しく。」

「……なぁ、この学校大丈夫なのか?」

「まぁまぁ。これから仲間として一緒に頑張っていきましょう、『黒兎先生』。」







――……






「…そう言えば最近、黒兎先生を見かけませんね。」

「何だプール、お前知らないのか?」

「え?」

「黒兎先生ならもう辞めちゃいましたよぉ。」

「えぇ!?本当ですか!?」

「あぁ。何でも、ノイローゼ気味の木村先生に追い掛け回され過ぎてノイローゼになっちまったらしい。」

「姿も見えないのに声だけを的確に追い求めるなんて、愛ですよねぇ。正に『ヤンデレな先生に愛され過ぎて夜も眠れない』って感じで。」

「あと大将のセクハラに耐えられなかった、って話も聞いたけど。」

「いや、あの顔を見ていると何だか無性にムラムラしてしまって、つい、な…」

「ついって何だ、おい。てか、その怪しい手つき止めろ。」




(消えた先生が、消えた)
(怪談イズデッド!)

(そして今日もまた七不思議は揃わない)


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嘘つき、ロンリー。