薬売りと寡夫


「随分と、お辛そうだ。」


無感動なその声はどこか揶揄を含んでいるようにも聞こえ、男は振り向かずに言葉を返した。


「辛くない訳がありましょうか。」


凛と伸ばした姿勢に小さく震える肩。

それを見て、くっ、と喉を鳴らす笑い声。


「屍は獣達が啄んでしまい、いつかは跡形もなく綺麗になくなりますぜ?」

「ですが、血に染まった大地は恐らくこの先もずっとこのまま……」


はらりはらり。

男は泣いていた。


はらりはらり。

男は笑っていた。


「だから彼女は真っ白に、何もなかったことにしようとしているのございましょう。」


たとえ、一時のまやかしであろうとも。


男の声が闇に溶けていく。

視界は、いつからか白く染まりだしていた。



「それが貴方の真で、彼女の理か…」



かちん、と剣が鳴った。


【雪女】了


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嘘つき、ロンリー。