大国参謀と一兵士


トルメキアを出航してしばらくのこと。

空中ではほとんど役に立たない兵士達が集まり、暇潰しにポーカーに興じていたところへ誰かが顔を出した。


「おい、ケント…ってお前らなぁ。」


やけに大人しくしていると思えば、と苦笑を漏らす参謀。

だが咎めようとしない辺り、なかなか好感が持てる人だ。


「何かありました?」

「お姫様がお呼びだ。」

「おひめさま?」


ペジテの姫君なら他機に乗っているはず。

なんて少しズレたことを考えていると、それを見透かしたらしい参謀が呆れたように言葉を付け足した。


「お前の大事な大事な幼馴染み様だろうが。」

「あー…」


そういやあの人も一応『姫』か。

『殿下』が似合いすぎて時々本当に忘れそうになる。


「幼馴染みっつーか使い勝手の良い付き人っすよ、俺。」


まぁ、呼ばれたのなら仕方ない。

渋々腰を上げ、持っていたカードをどうしようか迷っていると参謀に取り上げられた。


「後は引き受けてやるから、さっさと行け。」


どうやら端から混じるつもりだったらしい。

そこに俺の手札を見て、渡りに船と思ったようだ。

本当に抜け目がない。


だが、詰めは甘い。


「んじゃ、俺の負け分もお願いしますねー。」

「なっ…おいっ!それ聞いてねぇぞっ!」


ひらひらと手を振り、聞こえぬフリをし通せば、背後からの怒鳴り声は唸り声に変わった。

俺は笑いを噛み殺し、そのまま『姫様』の元へと向かう。


(あぁ、本当…親しみがあって好感が持てるお人だ。)


ただし、信用とは別問題だが。




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平民上がりの軍参謀と、貴族紛いの一兵士。

(どこか似通っているからこそ、)



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嘘つき、ロンリー。