東の青年と木霊
※トリップ主。
吾輩はコダマである。
名前は、今はないが、ケントと呼んでもらえるとありがたいのである。
……え?師匠?いや、それはこだま違いだ。
えっと、コダマっていうのは……そうそう!それそれ!その映画に出てくるアレ!
何だ、知ってるじゃん。ちょっと焦っちゃったよ、俺。
いや、あの監督の作品の中で一番好きなんだけどさ…正直、俺の乏しい語彙力で果たして上手く説明出来るかどうかが不安で…
……ん?分からないのは、どうして俺がコダマなのかって?
あー…それも何て説明すればいいのやら…
寝て起きたらそこはシシ神の森でした、みたいな?
意味不明?うん、俺も意味不明。
だから最初はパニクって誰かに助けを求めようとしてたんだけどね、人はみんな、俺を見ると怖がって逃げちゃうし。
かと言ってコダマ仲間は「いい天気だねー」「そうだねー」から話が全く進まないし。
……そうなんだよ。あの鳴いてんだか首を鳴らしてんだか分からない、「カタカタカタッ」っていうやつ。
あの意味が分かっちゃう辺り、「あ、俺今、コダマなんだなぁ…」って実感した。
……そう、正に「夢だけど、夢じゃなかった」、って笑い事じゃないんだって!笑えないんだってマジで!
だってこの先、一生コダマかもしれないんだよ?
毎日「いい天気だねー」「そうだねー」を繰り返すだけになるかもしれないんだよ?
それに今が映画の前か後かで色々と事情も変わって……あれ?よくよく考えると場合によっては死亡フラグが立つ可能性も……?
……………
ちょ、まじ今どこ!?シシ神さま、首は無事!?
誰か教えて!
モロさま!エボシさま!この際、ジコ坊でもいい!
あ、でも!欲を言えば「アシタカさまに会いたいなぁ」なんて―…
***
「…そなた、またここに来たのか。」
私の言葉に呼応するかのように、こちらを見上げ、かたかたと揺れる頭。
傾ぐ顔には目や口のような空洞があるだけだというのに、仄かに笑っているように見えるそれは妙に愛嬌があって思わず頬が弛んでしまった。
本来森の中で見掛けるはずのその姿を、村の近くで目にするようになったのは果たしていつの頃からだっただろうか。
初めは再び森で何か起きているのかと胸騒ぎがしたものだ。
だがその後、特に異変は見受けられず、彼の者はただ静かに一人、そこにぽつりと存在するのみ。
そう、たった一人、まるで私の来訪を待つかのように。
「…今日も、いい天気だな。」
童よりも小さく、だが人ならざる彼は一体、何を思っているのか。
倣うように空を見上げればまた、かたかたかた、と返事が返ってくるのだった。
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(アシタカさま!アシタカさま!アシタカさま!)
(ちょ、まじか!あのアシタカさまが!今俺に!俺だけに!話し掛けてる!)
(もうコダマでも天気の話でも何でもいい!まじテンション上がるんですけど!)
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リクエストありがとうございました!
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嘘つき、ロンリー。