東の青年と青年


「年長者が年少の者の面倒を見ることはよいことだよ、アシタカ。だがな―…」


一瞬、何か言葉に迷ったのか、黙り込んでしまったヒィ様。

そして少し困った顔をして続いた言葉の意図が、その時のアシタカにはよく解らなかった。


「―…ケントはもう、子どもではないのだ。」


確かにケントは自分より年下だが、村の中ではアシタカに次ぐ年長者。

それは重々承知しており、特別子ども扱いしているつもりも全くない。


そもそも「子ども」というものは見ていて癒やされることはあれど、ケントのように妙に気分を昂らせたり、落ち着かない気持ちになったりするようなことは決して―…





「く…っ、ふふっ…ふはははっ!」


とうとう堪えきれなくなったらしく、ケントは噴き出すと同時に普段からは想像つかないほど甲高い笑い声を上げた。

それにつられて口元が弛む。


「あひっ…ぃひひひっ…!」

「どうした、ケント。早く脱け出さなければ…」

「ふっ、アィっ、タっ、ひひっ、やめっ…っ!」


組み手の最中、体勢を崩して後方へと倒れ込んだケントに追撃を加えようとした瞬間、つい芽生えてしまった悪戯心。


必死に逃れようともがくケントの身体に跨がり、上から押さえ込みながらその線をなぞるように擽る。

ただそれだけで容易くその思考を奪うことができ、それがまた妙に面白い。


(……ヒィ様が案じていたのはこういうところだろうか…)


鍛練の途中に気分転換でこうやって戯れることはよくあるが、なるほど、確かに端から見ればケントも自分も「子ども」に違いない。

以後気を付けなければな、と理解しながらもアシタカはその手を止めることはしなかった。


いや、出来なかった。


「も、こぉさっ…んふっ、たすっ助けっ…ふははっ!」


涙目に荒い呼吸、頬は紅潮し、その身体は痙攣するように小刻みに震えている。


それらケントの様子を見下ろして、アシタカは思わず生唾を飲み込んでしまうのだった。





そして、悪戯は加速する。

(そして二度目の注意勧告)
(最早レッドカードです)


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196000hitより。
キリリクありがとうございました!




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嘘つき、ロンリー。