姫の師と谷の守人
※少年期。
「ユパ!」
そう声のした方を振り仰ぐ間もなく、目の前に降り立ったのは白い大きな鳥。
その背中に乗った友の姿を認め、思わず目を細めた。
「上達したな、ケント。」
「あぁ!ジルの親父さんにも『いい風使いになる』って褒められたんだぜ!」
お前もやればいいのに、と言いながら、メーヴェから降りたケントはそれを軽々と持ち上げる。
どうやらもう帰るつもりでいるらしい。
もう一人の友の姿はどこにも見当たらなかった。
「私はいいよ。お前達を見ているだけで充分飛んだ気分になる。」
「そうか?見てるだけじゃつまらないだろ。」
あまり納得していない様子のケントを伴い、谷へと続く道を行く。
その途中、「何事も挑戦だぞ、ユパ」とケントは呟いた。
「俺はいつか谷を出て、広い世界を見るんだ。」
『広い世界』。
漠然とした言葉だが、そこには確かな意志がある。
きっとケントはその言葉通り、そう遠くはない未来に旅立つのだろう。
その時、自分は
「…そう言えばトリウマの子が二匹、そろそろ遠出しても大丈夫そうだと谷の大人達が話していた。」
「二匹?」
メーヴェを抱え直したケントが不思議そうにこちらを見る。
どこかまだ幼さの残る表情に、思わず笑いを漏らした。
「お前一人では心配で見ていられないからな。」
それに隣が空くとお互い淋しいだろうと続ければ、ケントは目を輝かせて笑った。
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行こう!
あぁ、行こう。
それは幼く拙い約束。
(まだ運命を知らない少年達)
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アンケートより。
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嘘つき、ロンリー。