もののけ達と東の青年の年子弟


アシタカとその一つ下の弟であるケントの兄弟仲は、決して悪くはなかった。

かと言って特別良い訳でもなかった。


だからアシタカが祟り神の呪いをその身に受けた時、旅への同行を買って出たケントに村の大人達は皆一様に驚いた。

中には「これぞ血の為せる業よ」と、ついつい熱くなった目頭を拭う年寄りの姿もちらほらと見受けられたほど。


事実を知るは、村の大巫女ヒィさまと兄のアシタカだけであった。


『え、ヤックルが行くなら俺も行くし。』










「ヤックルはいいやつだからな。」


そう納得したように頷くサンは、背後にあるきょうだいらの様子に気付いていないらしい。


アシタカをぐるぐると威嚇しながら、その二頭の山犬は鋭い視線で訴えかける。


そんな昔話はどうでもいい。

早く「あれ」を何とかしろ、と。


「…すまない。ケントには私の方から言っておこう。」


言ったところで聞くかどうか分からないが。

そう喉まで出かかった言葉を何とか飲み込み、アシタカは心なしかぼろぼろになった白い毛並みからそっと目を逸らした。


アシタカとケントの兄弟仲は決して悪くなかったが、かと言って特別良い訳でもなかった。

その主な要因は、偏にケントの興味関心が常に人間以外に向けられるためであった。



『ひゃっほう!でっけぇわんこだなぁ!』



「…………」


去り行く三きょうだいの後ろ姿を見送り、意を決して振り向いたアシタカ。


そして遠目でやたらと白く見える一帯に少々頭が痛むのを感じ、小さく溜め息をこぼしたのだった。





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(再びでいだらぼっちが現れたと大騒ぎになるのは、もう少し後の話)

(さて、彼の者が『師匠』と呼び慕うアカシシは今何処であろうか?)


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嘘つき、ロンリー。