東の青年と現代人


※トリップ主。
※映画終了後の話で恋仲√に入ってます。











昔から何となく動物に好かれるたちだった。


立っていれば鳥が集まり、座っていれば膝の上に猫がやって来て、歩いていればいつの間にか背後に犬の行列が。

それらは動物好きの面々から羨ましがられ、時に妬まれたりしたものの、最終的には「…まぁ、ケントだから仕方ないか」と許されてきたため、きっと人間も動物として適用されるのだろうと思っていた。


だから、人から寄せられる『好意』にも慣れている―…つもりだった。


「そりゃあんた、『好き』ってのにも色々あるからねぇ。」

「それはまぁ、そうなんですけど…」

「何だ、分かってんじゃないか。なら何を悩む必要があるんだい?」

「…………」


悩んでいる、というより戸惑っている。

その微妙な違いについて訂正すべきかどうか迷っている間にも、おトキさんの目は揶揄うように、だけど柔らかく細められていった。


その眼差しは俺のよく知る『好意』に似ていて、



「ケント。」



ふと背後から掛けられた声に反射的に振り向けば、そこにいたのはたった今脳裏を過ったばかりの人。

その傍らにはいつもの相棒の姿があり、そう言えば昼前に一度周辺の見回りに行くと聞いていたことを思い出した。


なので「いってらっしゃい」という気持ちを込めて手を振れば、それが伝わったのか相手も軽く手を挙げて応えてくれる。


「さぁ、ほら。」

「え?」

「ここはもういいからさ、早くアシタカさまのところに行きな。」

「いや、でもまだ手伝いが…?」


そう抱えていた籠を見下ろすと、さっと横から取り上げられ、代わりにポンと背中を押されてしまった。


「いいからいいから、ほら!」

「す、すみません、それじゃあ…」


押された勢いのまま、まるで追い立てられるようにアシタカさん達の下へ。

何となく遠目で俺とおトキさんのやり取りを見ていたらしいアシタカさんはそれを静かに待っていてくれた。


「あの、今から見回りですよね?えっと、おトキさんが見送りに行ったら、って言ってくれて…」

「そうか。」


そっと細められた目。

柔らかく微笑む口元。


初めて出会った時から変わらない、いや、より一層強く感じるようになった『好意』にむず痒くなりながらもついつい顔が弛んでしまいそうになる。


(………だけど、最近…)



『アシタカ、さん…?』

『………済まない…もう少しだけ、このまま…』



「ケント。」


差し出された手を見て、ほんの一瞬思い浮かべたのは昨夜のこと。

突然背後から抱き竦められたかと思えば、その言葉の通り、しばらくそのままの状態で過ごした。


そんなことがここ最近、二人っきりになるとよくある。

そしてそんな時、アシタカさんがどんな表情をしているのか、俺には解らない。


(……どうすれば正解なんだろうなぁ…)


なんて考えながらアシタカさんの手を握り返し、答えを求めるように傍らに目を向ければ、ヤックルが不思議そうに首を傾げながらこちらを見つめ返すのだった。





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(せめて正面から来てくれたなら、)
(…抱き締め返すことだって、出来るのに)


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リクエストありがとうございました!



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嘘つき、ロンリー。