河の神と片割れ


千という少女が来てから珍しいモノばかりを目にするようになった。

特に物静かな、まるで人形のようだった友人の変化は凄まじい。


「ケント!ケント!」


大きな声、バタバタと廊下を駆ける音。

変わりすぎだろ、と苦笑しながら呼ぶ声に応える。


「俺ァここだよ、ハク。どうしたィ?」

「名前!名前を思い出したんだよ!」

「え…」

「千尋が教えてくれたんだ!」


興奮気味に喜びを露わにするハクは見た目相応に幼く見えた。

実年齢を知る身としては少し複雑な気もしたが。


「そうかィ、そうかィ。で、湯婆婆んとこには行ったんか?」

「これから行くよ!私はもう迷わない、本当の自分を取り戻すんだ!」


そうかィ、そうかィ。

それなら、さァ、速く行っといで。


そう言って背中を押せば、ハクは何の疑問もなく駆けていく。

その後ろ姿を見送って、小さく溜息を吐いた。


「…変化は嫌いじゃあねぇが、これはちと寂しいなァ。」





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そして隣には
もう誰もいない



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嘘つき、ロンリー。