河の神と従業員


三味線の音色に合わせ、扇をひらりひらり。

軽やかに舞うその白い姿に、誰もがほうっと感嘆の息を吐いた。


「きれい……」


そして、終演。


一瞬の沈黙の後、主演の少年が恭しく頭を下げると同時に喝采が沸き起こる。


「ハク様ぁ!」


拍手に紛れ、そこかしこから投げ掛けられる女の黄色い悲鳴。

だがそれらに一切目もくれず、少年は静かに座敷を辞した。


そこへ、


「ケント。」

「!」


びくっと揺れる肩。

少年に声を掛けたのは全く同じ姿をした少年だった。


ただ違うのはその表情か。

片や何かを咎めるような、もう片やどこかばつ悪そうに。


「そなた、また私の姿で舞ったのか。」

「…すんません。」


すると、ぽんっと音を立て片方の少年が煙に包まれる。

そして姿を現したのは一匹の化け狸だった。


「俺にゃあどうも雅っつーもんが似合わんので。」


苦笑しながら後ろ頭を掻く化け狸。

少年はますます顔を顰め、


「そんなことは、」

「ケント!こっちのお座敷も頼むよ!」

「へーい。」


どこからか掛かった声に化け狸が二つ返事で返す。

ふと物言いたげな少年の視線に気付き、少年に向き直った。


「大丈夫。次は別の姿で踊りますよ。」


結局、少年は何も言えず仕舞いだった。




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そうではない。
そうではないのだ。

(いつか見た剣舞が)
(頭に焼き付いて離れない)


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アンケートより!
リクエストありがとうございました!




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嘘つき、ロンリー。