河の神と従業員01


「しまった」と後悔した頃には時すでに遅く、そして「まぁ、いいか」と開き直るまでは速かった。


恐るべし、酒の力。


「うー…」


そして辛うじて残った理性が重たい身体を従業員用通路へと導く。


だが、この廊下はこんなにも柔らかかっただろうか。

歩いている実感があまりない。


「ケント。」

「んあー?っとっとっとっ…」


掛けられた声に振り向くと、そのままその方向へぐらりと傾く身体。

それを伸びてきた誰かの腕に支えられる。


「ハクさまぁ?」

「…少し、飲み過ぎではないか。」

「だってぇ…」


あぁ、呂律が回らない。

酔いはしっかりと回っているというのに。


なんて少し他人事のように思いながら、何とか「まさか酌の相手が酒の神様だと思わなかった」という旨を伝えた。


話をするのに夢中だったせいか、足元が疎かになって度々転びそうになったが。


「しっかりしておくれ。私一人では、そなたを抱えることは出来ないのだから。」


呆れたようにそう溜息をこぼしつつも、どうやら最後まで面倒を見てくれるようだ。

さすがハク様。


ついでに纏う空気がどこかひんやりとしていて、火照った身体には心地好かった。


ますます瞼が重くなっていく。


「それに、」


ハク様の声も次第に遠のいて―…





夢うつつに聞いた睦言

目が覚めれば馴染みの布団の中。

そして己の所業、その他諸々を思い出して一人赤面する。


(「それに、」)
(「他の者にはあまり触らせたくないのだ。」)


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72000hitより。
キリリクありがとうございました!


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嘘つき、ロンリー。