空賊三男と料理人
※映画終了後。
何がどうしてこうなった?
飛行船に備わった狭いキッチンの中、俺は一人頭を抱えていた。
(確か俺は、いつものように店の厨房に立っていて―…)
お世辞にも綺麗とは言えない店内。
見慣れない連中もいたが、大抵は常連の顔馴染みで埋め尽くされていた。
作っては運び、を繰り返す間に何人かに絡まれたが別に変わったことじゃない。
そう言えば、最後に喧嘩した相手は店の店長だったか。
『くそっ!こんな店、辞めてやらぁ!』
『おう!辞めちまえ辞めちまえ!テメェなんざ、』
『そうかい。なら、うちでもらおうか。』
「……いやいやいや、待て待て待て。」
今の、誰だよ。
最後に出てきたオバサン。
え?何?
空賊のお頭?
(てことは俺は今、空賊の飛行船に拉致られている訳ですか……?)
「…ははっ、ありえねー…」
「何が?」
「ぅおっ!?」
少し現実逃避をしていたら、いつの間にかキッチン内に誰かが侵入していた。
ビビって反射的に後退れば、キョトンと不思議そうな目で見られる。
相手はムサい空賊連中の中で唯一の髭なしメンだった。
「ケントー、腹減ったー。」
「っ、てめっ!馴れ馴れしく呼び捨てすんな、空賊めっ!」
てか何で俺の名前を知ってる!?とツッコんでみたが無視された。
何か食わせてー、としつこくせがんでくる。
(ガキか、コイツ…)
いや、コイツに限らず他の連中もガキっぽい。
そう言えば船長も「いつまでも子供で困る」って言ってたっけ?
(やっべ…『船長』って認めちまったよ…)
「ケントー。」
「あー、うっぜーな!分かったよ!作りゃあいんだろ、作ればよ!」
ただでさえ狭いところを野郎が二人いたら、余計狭苦しく感じる。
目をキッラキラと輝かせてる、この大きなガキにはさっさと出て行ってもらおう。
「で?何が食いたいって?」
「俺、何でも食う!」
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ケントくんが拉致られる、数時間前の会話。
(シータの飯の後じゃ、どれも食えたもんじゃねぇな…)
(ねぇ、ママー!)
(しょうがないねぇ…どっかで攫ってくるかい。)
(あ、俺いいとこ知ってる!)
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嘘つき、ロンリー。