小国王子と隣国王子
その血脈をずっとずっと遡っていくと、元は一つの王族だった…らしい。
それは月に数回ある、隣国同士の交流を正当化する建前のようなもので、その交流は他国への牽制だと教えられたのは物心がついた頃のことだった。
だから今、僕の視線の先で誰かと話すケントの横顔が、ちっとも僕に似ていなくても別に何の不思議もなかった。
(あぁ、でも…雰囲気は少し、ラステルに似ているかもしれない…)
なんて負け惜しみのように考えていると、ようやくケントはこっちに気が付いたようだ。
僕の知らない誰かに別れを告げたケントが、「アスベル!」と僕の名前を呼びながら足早に近付いてくるのを待った。
「来てたのなら声を掛けてくれれば良かったのに。」
「…何だか話が弾んでいたみたいだったし…邪魔したら悪いかと思って。」
「そんなことないよ。こっちこそ出迎えに行けなくて悪かったね。」
「いや……」
気にしていない、と妹のラステルならきっとそう続けているところだろう。
思わず言葉に詰まってしまった僕に何か察したのか、話題を変えるようにケントは「行こう」と僕を促した。
(あれは、誰だったんだろう…)
そして歩きながら近況を話し始めたケントにそれを問うことも出来ず、僕はまたケントの横顔を盗み見るのだった。
理由なんて、本当はいらない。
(あぁ、でも本当にその身体に同じ血が流れているのなら)
(その分だけ、ほんの少しだけでも)
(君を縛りつけることが出来たのかもしれない)
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六周年企画より。
企画へのご参加ありがとうございました!
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嘘つき、ロンリー。