空賊三男と料理人


目を離したのはほんの一瞬。

さすがは空賊、プロの犯行だ。


「って納得する訳ねぇだろ。」

「ぐぇ…っ!」


襟首を掴んで逃亡を防ぐ。

少々絞まったようだが自業自得だ。


そして被害に遭った皿に目をやれば、思ったより減っておらず安心した。


「つまみ食いした罰だ。手伝え。」

「ら、らじゃー…」


気の抜けるような返事に思わず溜息を吐く。

料理人に負ける空賊ってどうなんだ?


「ったく、何でお前はもう少し待ってられないんだ…」


兄貴らを見習えと言いつつ、人数分の皿を運ぶように指示を出す。

ちなみに他の連中は最初のつまみ食いで懲りてくれた。

あの時は今回と違い、量が量だったので容赦なくフルボッコにしてやったのが勝因だろう。


だが同じように返り討ちにしたはずの末っ子は、何故か今も俺の目の前で呑気に笑っていた。


「だってよー…ケントの飯、美味いし!」

「…褒めても何も出ないぞ。」


むしろつまみ食いした分、減らしてやるがな。

そう宣言すれば「えー」と不服の声が上がる。


それを無視した俺は鍋を抱えて先に厨房を出た。


慌てて後に続く気配。


「…まぁ、あれだ。」

「ん?」

「食いたかったら一言俺に言え。味見ぐらいさせてやるから。」

「!やった!」


その根性に免じて妥協案を提示してやれば、よほど嬉しかったのか突然抱き着いてきた三男坊に鍋を死守する俺。


それとほぼ同時に背後で皿の割れる音が聞こえたのだった。





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(お、雷。)
(こんなに晴れてるのに?)
(いや、ケントのだ。)


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アンケートより。
リクエストありがとうございました!




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嘘つき、ロンリー。