巷で噂の魔法使いと兄弟子
「何です、ケント。酷い顔色ですよ。」
「…すみません…研究に没頭して…気付いたら、夜が明けてて……」
「そんな状態で陛下の前に出るつもりですか?…仕方ありませんね。今日はもう自室で休んでいなさい。」
「…すみません…」
そんなやり取りの後、先生に促されて自室へと足を向けた。
途中、擦れ違う小姓達に付き添いを申し出られたが、どれも断った。
多少意識は朦朧とするものの慣れた道程、大したことではない。
そう思っていたことを今、酷く後悔している。
「あれ?ケントさん、いらしてたんですね!」
「……マルクル…」
部屋の扉を開けたはずが、何故かそこにいたのは顔馴染みの兄弟弟子の、弟子。
一瞬夢かと思ったが、よく考えればまだ寝てもいない。
「おはようございます!」と元気な声に応える代わりに、その頭を撫でた。
「朝食、食べて行かれますか?」
「…あー…いや……コーヒーだけ、もらえるか?」
「はい!」
どうやら俺が昨夜から泊まっていたと勘違いしたらしい。
説明するのも面倒で、黙ってその小さな背中を見送った。
(…さて…)
振り向けば扉などどこにもない、ただの壁。
触れると少し火花が散るが、戻れる様子はない。
くぁ…と思わず欠伸が漏れた。
(……ねみ…)
とりあえずマルクルからコーヒーを一杯もらって、それからハウルのベッドで一眠りしよう。
考えるのはその後だ。
「ケントさーん、コーヒー煎れましたよー。」
「おー…」
そしてまた、欠伸を一つ漏らした。
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勿論、未だベッドで眠っていた兄弟弟子は問答無用で追い出してやった。
(ぐっ……あ、れ?ケント…?どうしたの、こんな早くに…)
(いいからさっさと寝床を寄越せ。)
ちなみにハウルによる『ケントの部屋直通計画』は本人にバレたことにより、完成寸前に中止となった。
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アンケートより。
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嘘つき、ロンリー。