帽子屋の娘と幼馴染


着々と完成していく帽子を眺めながら、ぼんやりと思う。


うちはしがない食堂だ。

だから流行りがどうのにはとんと疎いが、とりあえずこれだけは言える。


「お前、もう少し身形をどうにかしろよ。」


女性向けの帽子屋、そこの娘がそれでいいのか、と。

そういくら意見してみたところで、幼馴染みの彼女はいつも作業の手すら止めない。


「いいのよ、私はこれで。」

「いや、よくないだろ。」


そしていつものやり取りに、開いたドアからこちらの様子を窺っていた従業員らが笑う。

隠しているつもりなのだろうが、俺には丸聞こえで、思わず舌打ちした。


「それより、ねぇケント。あなた、店の方はいいの?」

「…もう少ししたら戻る。」


今度は隠すつもりさえない笑い声が上がった。


まるで弟のような扱い。

そんなの、他の誰に言われなくても俺自身が解っていた。


「…ソフィー。」

「なぁに?」

「これ、やるよ。」


そろそろ潮時だろうと腰を上げ、そして『いつも』とは違う行動を取って出る。


「これで少しはレティを見習え」と差し出したのは、綺麗にラッピングされたモノ。

ようやく手を止めたソフィーはそれを受け取り、首を傾げながらも封を切った。


そしてその中身と先程の俺の言葉を重ね合わせ、「失礼な人ね」と小さく笑う。


「でも、ありがとう。」


大切にするから、と微笑むソフィーの腕の中で鏡が一瞬光るのが見えた。





鏡よ、鏡。

世界で一番美しいのは誰だ?

(それは聞かずとも貴方自身よく知っているはず)
(彼女も早く自覚してくれるといいですね)


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32500hitより。
キリリクありがとうございました!




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嘘つき、ロンリー。