巷で噂の魔法使いと兄弟子


俺にとっての幸福。


それは未だ読んだことのない本の山。

それはとびきり美味いコーヒー。

それはたった一人の兄弟弟子





の城に置いてある少し大きめのソファー。


「…うん。まぁ、分かってはいたけどね。」


ははは、と渇いた笑いを零しつつ俺を見下ろすハウル。

どうでもいいがそこに立たれると手元が暗くなると、そちらも見ずに抗議すればますます凹んだようだった。


本当にどうでもいいが。


「じゃあ、今のケントは最高に幸せな状態な訳だね?」

「…まぁ、そういうことになるな。」


お気に入りのソファーに腰掛け、煎れたてのコーヒー片手に買ったばかりの本を開く。

そんな現状を振り返ると、それは『幸せ』と言うより『贅沢』のような気がして思わず苦笑してしまった。


そしてまた一枚ページを捲ろうとしたところで影が動いた。

代わりとばかりに膝に感じる重み。


「…おい。」


本から少し視線をずらせば、こちらを見上げるハウルと目が合った。

青い瞳が愉しげに細められる。


「その幸せ、少しくらい僕に分けてくれてもいいだろう?」

「……アホか。」


少し大きめのソファーとは言え、長身のハウルでは足先が肘置きから飛び出してしまう。

そんな寝づらい体勢にも関わらず、一向に退ける様子のない兄弟弟子に溜息を吐いた。


「…ったく、仕方ねぇな…」


そして膝の上に置かれた金髪の頭を少し乱暴に掻き撫でた。







こうくろん

そうして私の幸福は完成する。

(なんて少し甘すぎないか?)
(あれ?それ、ブラックじゃなかった?)
(………)


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41500Hitより。
キリリクありがとうございました!




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嘘つき、ロンリー。