巷で噂の魔法使いと軍人


「つまり、だ。お前らは勤務中に女性に声を掛けたものの、突然現れた魔法使いに横からかっさらわれた挙げ句、魔法を掛けられて持ち場を離れてしまった、と。」


無駄な脚色で無駄に長々しかった同僚らの話を簡潔にまとめてやれば、返ってきたのは何やら不服そうに「まぁ、そうなんだが…」と肯定の意。

それを認め、俺は一つ、分かりやすいように大きな溜め息を吐き出してみせた。


「18点。」

「なっ…」

「同僚のよしみで大目に見てやったとしても、31点といったところか。」


恐らく女性に声を掛けたのは本当のことだろう。

そしてそのまま、お茶なり何なりに出掛けたに違いない。


まぁ、そこまではいい。

いや、勿論職務を放棄するなど言語道断の話だが。


「お前らな…サボるならサボるで上手くやれよ。それか、もっとマシな言い訳をしろ。無駄に上官を怒らせて、始末書が一枚無駄に増えただけじゃないか。」

「信じてくれよ、ケント。本当のことなんだって、なぁ?」

「あぁ、嘘は言っていない。」

「いいから黙ってさっさと書け。俺もそんなに暇じゃ、」

「ケント。」


呼ばれた声に振り向けば、別の同僚が開いた扉から顔を覗かせていた。


「その二人の見張りはもういいから、代わりに遣いに行ってくれ。」

「遣い?」

「この書状を届けてくれと、上からの指示だ。」

「…魔法使いの招聘、か。」


件の書状とは別に渡された自分宛の命令書にざっと目を通し、その内容を確認する。

いよいよ戦争が始まるのか、と少し他人事のように思いながら、その届け先の名前を、


「ペンドラゴン?」






―――………



「…つまり、だ。お前は書状を持って行ったものの、何故かそのままその魔法使いの家に閉じ込められ、何とか逃げ出そうと外に出たらそこはキングスベリーではなく何故か荒れ地で、それで帰りが遅くなってしまった、と。」

「……まぁ、そうなんだが。」





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(そうして増えてしまった始末書がもう一枚。)


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嘘つき、ロンリー。