巷で噂の魔法使いと荒れ地の魔法使い
※荒れ地成代♂
※攻主?
『サリマンに言われなかったかい?「荒れ地には決して近寄るな」と。』
そう困ったように笑いながらも、その人は僕を迎え入れてくれた。
穏やかな物腰に、優しい口調。
魔法によって若く美しいその姿のまま時を止めていたけれど、滲み出る老練な雰囲気はただ傍にいるだけでとても居心地が良かった。
だからか僕はいつしか彼に心惹かれてしまい、いつの間にか先生の忠告を忘れてしまっていた。
好奇心は猫をも殺す。
『まったく、困った子だな。』
そして後悔した時には、総てが手遅れだった。
「どこに行くんだい?」
僕を優しく抱き締めてくれた腕が、今は僕の行く手を塞いでいる。
「ケント…」
「なぁ、ハウル。君は私に、今まで色んなものを求めてきたね。」
ケントは相変わらず穏やかな物腰で、優しげな口調で僕を見下ろしていた。
それが今の僕には怖くて仕方なかった。
「君は何でも知りたがった。美しくあるための方法や、サリマンなら絶対に教えないような魔法…そして私自身のことも。」
なぁ、ハウル。
二度目の呼び掛けに思わず開きそうになった口を閉じ、息を飲み込んだ。
ここで返事をしては、きっと僕は彼に捕らわれてしまうに違いない。
そう教えてくれたのも確か彼だったはず。
「私はいつだって君の知識欲を満たしてきてあげただろう?今度は君が私の欲を満たしてくれる番だ。」
いつも我が子のように僕の頭を撫でてくれたケントの手が妖しく頬に触れ、ゆっくりと下っていく。
感触を楽しむようにゆっくりと、頬から顎へ、顎から喉へ。
僕は必死に心の中でカルシファーの名を叫んだ。
それを知ってか知らずか彼は愉しげに微笑み、その手は僕の胸の上で止まる。
そしてケントは僕に顔を寄せ、耳元で甘く囁くのだった。
「なぁ、ハウル。」
この心臓、私にくれないか。
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(その後、カルシファーが助けてくれたようだけど、僕はよく覚えていない)(ただ体が燃えるように熱かったような気がする)
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嘘つき、ロンリー。