巷で噂の魔法使いと帽子屋の息子
※ソフィー成代♂
前略、可愛い可愛い妹様。
貴女が家を出て、もう随分と経つというのに、うちの店には未だ貴女目当ての客が後を絶ちません。
それも冷やかしではなく、きちんと帽子を買って行ってくれる辺りは大変ありがたいのですが、それらが全て、貴女の下へ集まるのかと思うと何だか申し訳ない気がいたします。
出来るだけ、貴女好みの物を買ってもらうようにはしているので、どうかお許しいただけますようにお願い申し上げます。
さて、ここしばらく顔を見ていませんが、きっと貴女はますます可愛さに磨きをかけていることでしょう。
菓子屋で働く貴女の評判は、店に篭りがちな私のところにまで届くほどです。
なので…正直、少し心配しています。
「どちらへ?私が送って差し上げましょう。」
こういう、妙な虫はついていませんか?
「…いえ、結構です。」
妹の働く菓子屋へ向かう途中、暇を持て余した兵士に「こねずみちゃん」とからかわれていた数分前。
そこへ目の前の優男が颯爽と現れたのが、ほんの少し前。
だが魔法?で助けて?くれたまでは良かったものの、今度は彼自身が俺に絡んできたので、逆に参ってしまった。
そもそも誰も彼も、俺なんかに構って一体何が楽しいと言うのか。
(はっ!もしや、俺がベティーの兄であることを知って…?)
なるほど、未来の義兄となる俺の心証を少しでも良くしようとしているというなら分からないでもない。
となると、先程の兵士二人も予め仕込まれていた可能性があるのではないか?
そう少し疑心暗鬼に陥りながら、とりあえずベティーの店に行くのは諦めることにした。
こんな男を、可愛い可愛い妹に近付ける訳にはいかない。
「知らん顔して。追われて、」
「それじゃあ俺はこの辺で失礼します。ありがとうございました。」
「え?あ、ちょっ、待っ…!」
追い掛けてくる優男は未だ何か言っているようだったが、構わず俺は足早に歩を進め続けた。
そしてさらにその後ろを追って来る黒い影に、俺が気付くことはなかった。
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(お兄ちゃんは心配しています)
(今後、仕立て鋏を持ち歩こうかと真剣に悩むくらいには)
草々
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リクエストありがとうございました!
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嘘つき、ロンリー。