巷で噂の魔法使いと兄弟子


最近、兄弟弟子の城で掃除婦を雇うことになったらしい。


(あのハウルの性格だ、その掃除婦さんはさぞ苦労するだろうな…)


なんて苦笑しつつ、だがこれでようやくハウルもマルクルも人並みの生活を送るようになるかと思えば、少しだけホッとした。

城の方も少しは城らしくなることだろう。


そして今後のことを考え、件の人物への挨拶と労いのために訪問することにしたのだが―…







「……アホか。」


お湯が充分に注がれた浴槽の中、項垂れるように座り込むハウルを見下ろして、思わず溜め息を吐いた。


「一体何を考えているんだ、お前は。」

「…………」

「前にもこんなことをやらかしたって?しかも女の子にフラレて?」

「…………」

「アホか。」


まさか髪色が変わったぐらいで闇の精霊を召喚するとは、我が弟弟子ながら理解に苦しむ。

怒ったソフィーが衝動的に城を飛び出してしまったのも無理のない話だろう。


そして改めて今後のことを考えると、頭が痛くなってきた。


(……いや、待てよ?確か前にも一度、似たような状況になった覚えが…)


あれはいつのことだったか。

ハウルの髪が美しい金色に染まる前、それよりずっと昔。


闇の精霊こそ召喚されなかったものの、心を閉ざした幼いハウルにあのサリマン先生でさえ手を焼いていたように思う。


何故そうなったのか経緯はよく覚えていないが、きっと今回同様、至極どうでもいい理由だったに違いない。


(……しかし、マルクルは一人でこれに対応したのか…)


未だ茫然自失のハウルは得体の知れない粘液まみれ。

一階も同じ状態で、今頃マルクルとソフィーが二人でその後始末をしているはず。


俺もさっさと合流しなければ…ともう一度溜め息を吐き、適当なスポンジを手に取ると浴槽の傍らに膝を着いた。


「ハウル、ほら…腕を上げろ。」


指示通りにのろのろと動き出したハウルに合わせて身を乗り出したが、浴槽の縁の部分が邪魔をする。

それに俺自身、ハウルを運んだ際に濡れた服がべったり肌に張りついていて気持ちが悪かった。


(いっそ俺も一緒に入って洗った方が早いかもな…)

そして大の男が二人、狭い浴槽の中に向き合って座る光景を想像し、思わず笑ってしまったのだった。





うつくしくあれ

(彼の初恋の相手は)
(それはそれはとても美しい金色の髪の少女だった)

(そして水面に浮かんだ姿に)
(かつての幼い自分の姿に)

(再び目の前が暗く、)


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キリリクありがとうございました!




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嘘つき、ロンリー。