病弱な少年と又従兄弟


『ケントさん、今日は学校の部活動があるとかで少し遅れるみたいですよ。』


そうハルさんに言われて、「そう、ですか…」と返したのはほんの一時間前のこと。

そして今、いつも通りの時間にやって来たケント君に、僕は思わず目を瞬かせた。


「どうした?」

「部活、じゃなかったの…?」

「あぁ…思ったより早く終わったから。」


何でもないようにそう言い放つと、定位置のベッドの端に腰掛けたケント君。

するとギシッと二人分の体重にベッドが沈み、ケント君と僕の距離が近くなる。


その時、不意にケント君のこめかみ辺りに光る汗に気が付いた。

それに吐く息が少し熱っぽい、ような気がする。


「ケント君?」

「ん?」


もしかして、部活が終わるとすぐにこちらに向かってくれたのだろうか。


だけどそれをケント君に指摘することも出来ず、僕は話題を変えることにした。


「確か、ケント君は剣道部に入っていたよね。」

「…悪い、臭いか?」

「え?」

「防具って独特な匂いがするからな。」


一瞬、何を言われたのか分からなかった。

そして次の瞬間、自分の二の腕に鼻を押し合ててすんすんと鳴らすケント君を見て、慌てて否定する。


「ご、ごめん!そういうつもりじゃ、」


なかった、と言い終える前に、ケント君の顔が目前に迫り、思わず声を飲み込んだ。

反射的に身を引けば、そのままベッドの上に押し倒される。


「ケント、くん…?」


短く立てられたケント君の髪が僕の頬を擽る。

すんすんとすぐ側から聞こえてくる息遣い。


そして、



「翔は、いい匂いがする。」





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(一瞬、何を言われたのか分からなかった)
(次の瞬間、カァッと顔に熱が集まるのを感じる)


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嘘つき、ロンリー。