病弱な少年と又従兄弟


※映画終了後。
※術後。









「そうだ、旅に出よう。」


どこか聞き覚えのあるキャッチフレーズと共に、翔の手を取って祖母の家を飛び出した。


とは言っても本当に飛び出した訳ではなく、祖母や家政婦さんにはきちんと「行ってきます」と告げ、玄関も静かに閉めた。

『飛び出した』はあくまで俺の心情表現だ。


なんせ今日は、翔と初めての外出だ。


「え…本当に?」


バスに乗り込んだところでようやく、それまで繋いだ手を照れたように、だが嬉しそうに見つめていた翔の顔に戸惑いが浮かぶ。

きっと近所を散歩、ぐらいにしか思っていなかったんだろう。


そんな翔を窓際の席に座らせ、俺もその隣に腰を下ろした。


「まぁ、『旅』は大袈裟にしろ、少し遠出しようかとは思ってる。」

「でも…」

「大丈夫、無理はしない。」


家を出る際にも「無茶は禁物ですよ」と口を酸っぱくして注意されている。

ただうるさく言っていたのは家政婦さんだけで、祖母は優しく微笑みながら俺達を見送ってくれたが。



『ケントさんも男の子ですものね。』



…あの人は一体、何をどこまで知っているのか。


なんて少し思考を飛ばしていると、翔の声にふと我に返った。


「どこに行くの?」

「それは…着いてからのお楽しみってことで。」


窓の外を流れる景色を眺める、翔の横顔はどこか楽しげだ。

それを見て、思わず目を細めた。


(行き先…特に決めてないけど、まぁ、何とかなるだろ。)


繋いだままの掌に、じっと汗を感じる。





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(そんな夏の終わり、)


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嘘つき、ロンリー。