新聞部部長と恋人


「あ、いたいた。水沼ー。」


がちゃ、とドアーの開く音と共に呼ばれたのは自分の名前。

手元の本から顔を上げると、そこにいたのは級友のケントだった。


「これ、ありがと。助かった。」


そう差し出されたノートは確か、つい先日貸し渡したものだ。

「それは良かった」とそれを受け取ると、「また頼む」と笑うケントは案外抜け目ない。


つられて思わず苦笑してしまった。


「そうそう。お礼に明日の昼、学食でも奢るよ。それとも帰りに餡蜜がいいか?」

「いや…気持ちだけ受け取っておこう。」

「そうか?」


そんなやりとりを交わしながら、読んでいた本と一緒にノートを傍らの机の上に置く。

それと同時に、ふとその後ろ姿に目を留めた。


「それより俊と、」

「しゅん?」


俺の視線をたどり、今ようやくそれに気付いたらしいケントが小さく目を見開いた。


「あぁ、いたのか。風間。」


そういやここ、新聞部だっけ?

なんて呟きながらそれに近寄って行くと、無造作にその手元を覗き込む。


「ガリ?」

「ん?あぁ、来てたのか。ケント。」

「手伝うか?」

「いや、いい。もうすぐ終わる。」

「そうか?あ、それで水沼。今度の休みは予定あるか?ちょっと行きたいところがあるんだけど…水沼?」


再びこちらを振り向いたケントが、俺を一目見るなり不思議そうに首を傾げる。

「どうした?」と作業の手を止め、振り返った俊も似たような顔をしているところを見ると、今の俺はさぞ複雑な表情をしていることだろう。


「…なぁ。」

「ん?」

「何だ?」


実際、俺の心境は非常に複雑だった。


「二人は、その、付き合っているんだよな…?」

「「?そうだけど?」」


何を今更。

そう言いたげな二人の顔に、思わず溜め息を吐いた。





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(…余計なお節介だとは思うが、もう少しお互いに興味を持ったらどうだ。ケント、まずお前は誘うなら俊を誘え。俊、お前はもっと嫉妬した方がいい。)
(あ、もしかして今度の休みは予定があるのか?)
(嫉妬…?何でだ?)
(………………)


会長、この二人に何を言っても無駄ですよ。

そう言って、どこか諦めたように苦笑する他の部員達の姿が印象的だった。


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嘘つき、ロンリー。