新聞部部長と旗を掲げる少女の幼馴染


「―…じゃあ、確かに渡したからな。」


そう素っ気なく言い放ち、さっさと立ち去ろうとする同級生。

その背中を呼び止めようとして、隣にいた生徒会長に先を越されてしまった。


「ケント。」


足を止め、相手が振り返ったところでさらに言葉は続く。


「兄貴は大変だな。」

「…………」


その一言にケントは一瞬目を細め、水沼を見つめた後、ゆっくりと視線をこちらへと向けた。


「ただの、幼馴染みだ。」








「やれやれ…あの様子じゃ、障害は大きいな。」


結局何も口を挟めないまま、その後ろ姿を見送っていると、どこか呆れたような声にふと我に返る。

見れば、その声とは裏腹に愉しそうな顔をした水沼と目が合った。


「障害?」

「俺が気付いてないとでも思ったか?」

「別に、メルとはそういうんじゃ…」

「お前の狙いはそっちじゃないだろ?」


当たり障りなく濁そうとしたものの、先手を取られて思わず言葉に詰まる。


流石、水沼殿。


すると、水沼はわざとらしく肩を竦めて「まぁ、頑張れよ。俊」と俺の背中を叩いた。


(頑張れ、か…)


最近、ケントの『ただの幼馴染み』と親しくなったことですっかり警戒対象とされてしまっているが、おかげで今までよりずっと接触する機会が増えたのはいい皮肉だ。


そう苦笑しながら、先程渡されたばかりのガリに視線を落とす。

その受け渡しの際に手と手が触れる…なんてこちらが期待していることも、ケントはまだ知らない。


「…まぁ、地道に頑張るさ。」


そして誰とはなしにそう呟いた。







これはそう楽な道ではない

(でも案外、楽しかったりする)


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六周年企画より。
企画へのご参加ありがとうございました!




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嘘つき、ロンリー。