生徒会長と恋人
『生徒会長』なんて華やかな肩書きの割に結構仕事は地味なんだな、と思ったのが正直な感想。
「学園祭でここを?」
「使えるかどうかの検討だ。」
一緒に帰ろうと誘いに来たはずが、気付けば薄暗い空き教室、いや物置と呼んだ方が妥当かもしれない。
積み重ね、端に寄せられた机と椅子。
隙間を埋めるように梱包された紙の束がそこかしこに置かれ、点在する段ボォル箱には一体何が入っているのやら。
定期的に掃除はなされているのか、全体的にあまり埃っぽさは感じられなかった。
「とりあえず軽く荷物を片付けて、広さや間取りを確認したい。」
「了解、会長殿。」
そう言って敬礼して見せれば、水沼は小さく苦笑した。
「悪いな、生徒会でもないのに手伝わせて。」
「いいっていいって。別に暇だったし。その代わり、見返りよろしく。」
「あぁ、期待していてくれ。」
なんて軽口を叩きあい、さてどこから手を着けようかとそれぞれ辺りを見渡した。
ふと床の上に一枚、つい最近壁から剥がれたらしい紙が落ちているのに気付き、それに近かった水沼が手を伸ばす。
細い腕だ。
先程水沼は「軽く荷物を片付けて」と言っていたが、これから行うことは相当の肉体労働に違いない。
その細腕を奮わせるより先に俺が活躍しておこう。
と決意を新たに、手近にあった段ボォル箱の一つに手を掛けようとしたところで動きを止めた。
意外と、重い。
本当に一体、何が詰まっているのか。
再び勢いを付けて持ち上げた瞬間、その勢いに負けて一、二歩後退してしまった。
踵に何かが当たる。
「ケントっ!」
そして全てが、コマ送りのようにゆっくりと見えー…
「…まったく、最後にここを訪れたやつはこれに気付かなかったようだな。」
そう言って水沼が俺に見せてくれたのは、『整理整頓』と書かれた古びた紙。
先程拾ったものだろう、いい皮肉だ。
いや、それよりも何よりも、今のこの状況は何だ。
「怪我はないか?」
「…………」
「ケント?」
気遣わしげに俺の顔を覗き込みながら水沼は今、俺の下にいた。
そして俺は今、水沼の腕の中に、いた。
「す、好きです…」
「それは知っているが。」
何を今更、と言いたげに眉を顰める『生徒会長』の顔が近い。近過ぎる。
俺はそれ以上何も言うことが出来ず、ただその胸に顔を押し付けたのだった。
頭の頭痛が痛い。
(大事なことなので何度でも!)
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七周年企画より。
企画へのご参加ありがとうございました!
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嘘つき、ロンリー。