空賊三男と仲間


「なぁ、ケント。」

「あん?」

「ケントはアンリのことをどう思ってんだ?」


その時、タイガーモス号内に戦慄が走った。


「…何だ、いきなり。」


シャルルの問い掛けに、不思議そうに顔だけを振り向かせるケント。

その手は現在進行形でアンリに対してアイアンクロー中、BGMは途切れることのないアンリの悲鳴だ。


(((このタイミングで聞くか、普通!?)))


三人以外の心の声が一つになった。


「何でそんなこと聞くんだ?」

「やっぱり兄ちゃんとして、弟の恋が上手くいくか心配だからなぁ。」

(((いや、そこはもっと心配してやるところがあるだろ!?)))


時折聞こえる「兄ちゃん助けて!」の声は、残念ながらシャルルの耳には届いていないらしい。

さすが天然シャルル。


ちなみにもう一人の兄ちゃんはじっちゃんの手伝いのため不在だった。


「…まぁ、タイガーモス号を操縦している横顔は格好良いと思うけどな。」

「え…?」


そう声を漏らしたのは誰だったのか。

とりあえずシャルルでないことは確かだ。


見ればいつの間に解放されたのか、アンリがポカンとケントを見上げていた。


「本当か!ケント!」

「おー、本当本当。格好良いぜ、お前。」


散々暴力を振るって気が済んだらしいケントは珍しく爽やかな笑みを浮かべている。

対するアンリも、ケントのまさかのデレ発言に有頂天だ。


「ということで、今夜の操縦替わってくれ。」

「分かった!」

(((おいおいおい。)))


騙されてるぞ、お前。

そう心の中でツッコんでみても、当然のことながらアンリの耳には届かない。


勿論シャルルも、「良かったなぁ、アンリ」と笑うだけだった。




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ケントが見ていなければ意味がないと、アンリがそう気付いたのはそれから一週間後のことだった。


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嘘つき、ロンリー。