設計士の同僚と友人
「月が綺麗だな。」
「…は?」
端から期待なんてしてなかったが、予想通りの間抜け面を晒すケントに苦々しく舌打ちする。
それを聞いて我に返ったのか、「え、あ、うん?そうだ、な…?」と同意するケントはその意味に気付いていない。
いや、恐らく知らないのだろう。
「お前も情緒とか感じるんだなぁ…なんか意外だ。」
なんて不思議そうに夜空を見上げるケントが、知る訳がない。
「…言い甲斐のないやつだ。」
「え?」
「お前に言った俺が馬鹿だった。」
「は?何だ、それ。どういう意味だ?」
「もういい。」
そう吐き捨てるように話を切り上げようとしたものの、ケントは納得がいかなかったようだ。
いや、「納得がいかない」というよりも「馬鹿にされた」という方が大きいのだろう。
その証拠にケントは「馬鹿にするな」と乱暴に俺の腕を掴み、俺を睨みつける。
「おい、」
「俺だって、お前と同じ気持ちだ。」
あまり見たことのないケントの真剣な眼差しに、思わず息を飲み込んだ。
「月が綺麗だって、そう思ってる。」
勿論、その言葉に意味がないことは知っていた。
だが、
「……言ったな?」
「え?」
「自分の言ったことには責任を取れよ。」
このまま情緒に流されてしまえと、そう思った。
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そして月明かりの下で、二つの影が重なる。
(あい、らぶ、ゆう。)
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嘘つき、ロンリー。