魚の子の父と崖上の少年の友人
※映画終了後、高校生ぐらいになった頃。
※攻主?
久し振りに愛娘の下へ会いに行こう。
そう思い立ったフジモトはすぐさま行動に移した。
「わたしも行きたい!」と一斉に騒ぎ出す他の娘達を何とか宥めつつ、あれやこれやと準備に奔走。
そうしてようやく出発、と思えば―…
「相変わらず、みたいッスね。」
騒ぎながら駆けて行く子どもらの後ろ姿を見送って、振り返った青年はフジモトを一目見るなり、そう言って笑った。
元々ボサボサ頭の窶れ顔をより一層ボロボロにしたフジモトは、その青年の顔を確かめるように目を細める。
「あぁ、君か…」
名前は確か、ケントといっただろうか。
その瞬間、いつかのほろ苦い記憶を思い出してしまい、思わず顔を顰めた。
『ヘンなオッサン!』
『えぇい!どきたまえ!私は先を急いでいるのだ!』
だから、お礼を言う気にはなれなかった。
「ダメッスよ。子どもは変わったモノに目がないんですから。」
「…君が言えたことじゃないだろう。」
「まぁ、そうッスね。」
「…………」
悪びれた様子もなく肩を竦める姿に、フジモトが何も言えずにいると「宗介んとこに行くんでしょ?」とケント。
「だったら俺バイクで来てるんで、良かったら送って行きますよ?」
「あぁ、そう言えば君は彼と懇意にしていたな…まだ付き合いがあるのかね?」
「それなりに仲良いと思いますよ。学校はまぁ、違いますけど。」
なんて話しつつ、歩き出したケントにフジモトも後に続く。
最後に会ったのはいつだったか、その背中はすでにフジモトのそれより高い。
「君は先程、私に『相変わらず』と言っていたが…君の方はすっかり変わったな。」
「そうッスか?そうかもしんないッスねぇ…」
最近サーフィンをやっているのだ、と笑うケントの肌も髪も随分陽に焼けてしまっている。
世間一般で言えば、フジモトよりもよほど『海の男』らしいだろう。
子どもの成長とは本当に早いものだな…とフジモトが一人しみじみ感じ入っていると、ケントは振り向かないまま言った。
「もう少し待っててくださいね。」
「?うむ…?」
バイクを停めてある場所まで、まだしばらく掛かるのか。
そう考え、海水タンクの残量を気にしていたフジモトは当然、ケントの表情に気付くことはなかった。
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(あと少し、)
(貴方が泡となって消える前には)(きっと迎えに行きますから)
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嘘つき、ロンリー。