空賊三男と料理人
俺も一応、料理人の端くれ。
「美味しい」と言われれば嬉しいし、完食してもらえたらますます気持ちがいい。
「うめぇ!うめぇ!うめぇ!」
…かと言って、こうも連呼されてはそのありがたみも薄れるってもんだが。
「おかわり!」
「…お前、腹八分目って知ってるか?」
「はらはちぶんめ?」
「…………」
思わず溜息をこぼした。
他の連中はとっくにそれぞれの持ち場へと戻り、今部屋に残っているのは三男坊ただ一人。
そろそろ船長からお叱りを受けそうなものだが、そこは俺を巻き込みさえしなければどうでもいい。
問題なのは、未だ後片付けに取り掛かることが出来ないということだ。
「ったく…これで最後だからな。」
ひとまず要求に応え、追加分を皿に盛る。
それに目を輝かせたかと思えば、一口頬張ってまた「うめぇ!」と叫ぶアンリ。
「お前、何を食べてもそれしか言わないな…」
「?何で?だめ?」
本当に味覚あるのか、少し心配になった。
と思ったが口にはしない。
代わりに「何でもいいから、さっさと食べろ」と促せば、アンリはあっさりとごまかされてくれた。
そして再び食事を掻き込み始めた姿を見守りながら俺は、とりあえず食べ終わったら片付けの手伝いをさせようと、そう密かに心に決めるのだった。
--------------
(だって仕方ないじゃないですか)
(あなたが作った、その事実が『美味しい』んです)
---------------
リクエストありがとうございました!
戻る
嘘つき、ロンリー。