泥棒一味と何でも屋


何でも屋は文字通り、客から依頼があれば「何でも」引き受けるのが仕事だ。

その上、うちの会社は一応グローバル企業を謳っているため、極端に言ってしまえば電話一本で地球の裏側まで飛ぶこともある。


正直、現場で働く身としては、ぜひとも近場の便利屋などで済ませて欲しいところだが。


「そこはほら、ケントちゃんの腕を見込んでのご指名!ってわけよ。」

「おだてたところで契約内容以外の仕事はやらないからな…」

「上等上等!頼りにしてるぜ?」


なんてニヤニヤ笑いながら望遠鏡を覗いていたルパンが唐突に「お、」と声を上げる。

一体何が見えたのか、少し気になりはしたものの、ひとまず自身の役割に集中しようと手元の資料に視線を戻した。


今回の主な依頼は必要機材の調達。

中でも取り急ぎ準備しなければならないのは潜水器具の類いで、出発から到達地点までの距離よりおおよその潜水時間を割り出し―…


(……珍しく、本筋に関わらなくていいんだよな…)


いつもなら依頼する前から勝手に人を計画の頭数に数え、その危険性やら注意事項やらは大抵後出し、そして毎度面倒事に巻き込まれる始末。


だというのに、今回に限ってはただの見張り役さえ外されている。


「五ヱ門が来たぞ。」


そう言いながら二人分のカップ麺を持って下から上ってきた次元に「こっちも来たぞ」と言葉を返すルパン。

ルパンに続いて自分の分を受け取ると、次元と入れ替わるように階段へと足を向けた。


「じゃあ俺は食ったら一旦ここを離れる。」

「おう、また後でな。」

「よろしくねん。」


軽い調子でひらひらと手を振られ、見送られながら階段に一歩足を掛けようとした瞬間。


ちらりと横目に盗み見たのは、湖の中頃に聳え立つカリオストロの城。

計画の詳細は聞かずとも、ある程度の背景は一応調べが付いている。


幻の偽札、ゴート札。

その辺りが恐らく今回の狙いだろう。


だが相手は天下の大泥棒、それだけではない「何か」があるのかもしれないが。



『なぁに、大した仕事じゃねぇんだ。こっちが済むまで城下町で観光でもして待ってりゃあいいさ。』



何でも屋は文字通り、客から依頼があれば「何でも」引き受けるのが仕事だ。

依頼されていないことにまで首を突っ込む必要はない。


「…おぬしも来ていたのか。」

「あぁ、電話一本で呼び出された。」


階段を下りきったところで声を掛けてきた五ヱ門に皮肉を返せば、ふっと小さく笑われる。

構わず適当な場所に腰を据えると、カップ麺を啜った。





世界の裏側へようこそ

(…とりあえず、言われた通り城下で待機しとくか。)


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嘘つき、ロンリー。