踏鞴場の長と獅子神


※シシ神成り代わり?微グロ注意。
※夢と呼ぶには少々微妙な内容となっています。ご注意を。









首桶を用意するように指示を飛ばした瞬間、ふと赤子の泣き声が聞こえた。

か細く、途切れがちに、だがはっきりと。


一体どこから…と思わず首を巡らせかけたエボシだったが、寸前に自嘲混じりにそれを思い止まった。


有り得ぬことだ、と。

ここは獅子神の森、それも今や人間ともののけ達の争いの場と化し、脆弱な赤子など居るはずがなかった。


しかし、ならば何故?

極度の興奮状態がもたらす幻聴か?

他の者達にも聞こえているのだろうか?


と、そこでようやく他周囲の音が一切聞こえないことに気付く。


いや、音だけではない。

自分以外の総てのものが、止まって見えた。


「これは、貴様の仕業か?」


そう言って見下ろしたのは、先程『国崩し』によって吹き飛ばしたもののけの首。

神だったものだ。


「赤子の声など聞かせて…改心せよ、とでもほざくつもりか?それともまさか、憐れみを乞うているのではあるまいな?」


次いで視線を合わせるように眼前まで掲げてみるも、無論虚ろな眼が何かを応えることはない。

そして、まるで人のような、獣のようなそれとしばし見つめ合い―…エボシは嗤った。


信心など持ち合わせぬ身とはいえ、神殺しとはいかなるものか。

覚悟はとうに決めてあった。


「まぁ、何でも構わん。祟りたくば祟るがいい。だがな、どこぞの猪のように相手を間違えてくれるなよ。」


悔いることさえ許されぬことを、知っていた。










周囲に散らばっていた、ディダラボッチに成り損なったもの達がゆっくりと動き出し、それと同時に時が流れ始める。


そんな中、こちらに向かって慌ただしく駆け寄ってくる胡散臭い僧の姿を目に留め、振りかぶる。


「受け取れ!約束の首だ!」


そして、それを手放した次の瞬間、その腕は山犬によって食い千切られたのだった。




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(赤子の声はもう、聞こえない)



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嘘つき、ロンリー。