少年と転入生


※中学生設定。









近所の兄ちゃんが着ていた学ラン。

数学に変わった算数。


「学校には慣れたか?」なんて質問もようやく聞かなくなった頃、一つだけどうしても慣れないものがあった。


「大垣くん。」

「!お、おう。」


小学校からほとんど変わらない顔ぶれの中に、中学から入ってきた同級生のケント。

東京から来たと言うので、サツキに「知り合いか?」と聞いてみたら心底呆れられたのは記憶に新しい。


『あのねぇ…東京って一言で言っても広いんだからね。』


「さっき草壁さんが探してたよ。」

「…おう。」


思っていたことを言い当てられたような、居心地の悪さを一瞬感じたが、それよりもだ。


ケントは男子女子関係なく全員名字で、それもご丁寧に“くん”とか“さん”とかまで付けて呼ぶ。

そのせいか、ただでさえよそ者で目立つのに、この小さな学校内では少し浮いているようにも見えた。


『え?そう…かなぁ?都会の子ってみんな、あんな感じじゃないの?』

『ケントくんって王子様みたいだよねー。勘ちゃんとは大違い!』


「……………」

「?大垣くん?」

「………なぁ。」

「うん?」


小さく首を傾げるケントから少しだけ目を逸らす。

“勘ちゃん”だとか“勘太”だとか、そんな呼び方しかされたことがない俺には“大垣くん”なんて少し戸惑うし、少し…照れ臭い。


「俺の名前、呼び捨てでいいから。」

「呼び捨て?」

「勘ちゃんとかさ…」


そう口にしてすぐに後悔する。

呼び捨てを勧めながら、何で俺はよりにもよって“ちゃん”づけで言ってしまったのか。


もっと親しければ…それか女ならともかく、男が男に、


「勘ちゃん?」

「っ、な、なしだからな!今のはなしだから!忘れろ!」

「え、あ、うん…?」


慌てて訂正すれば、今度は反対方向に首を傾げるケント。

顔がやけに熱い。

多分、今の俺の顔は真っ赤になっているはずだ。


そんな俺の様子も不思議そうに見つめながら、「えーと…」とケントは言葉を選ぶ。



「じゃあ、大垣?って呼んでいいかな?」

「…………おう。」




----------------
(何だか少し、残念なような…?)


---------------
リクエストありがとうございました!



戻る

嘘つき、ロンリー。