少年と転入生
※中学生設定。
おしゃべりに夢中の女子とか、宿題をやり忘れて今頃必死に取りかかり始めたやつだとか。
小学生の頃よりも、休み時間を教室で過ごす姿が増えたと思う。
だからそんな中、ただ席に着いてぼんやりと外を眺めるケントの姿も、今では見慣れた光景だった。
「かんちゃん、本当に行かねぇの?」
「行かねぇ。」
「ふーん…?」
不思議そうに首を傾げながら教室を出て行く、いくつかの背中を見送り、そっと息を吐き出す。
そして机の中から取り出したのは、最近教室内で回し読みしているマンガだ。
校庭でサッカーもいいけど、今はその続きが読みたくてしょうがなかった。
本当に、ただそれだけだった。
「なぁ、ケント。」
「ん?」
自分の席に着いたまま、少し大きめの声でケントを呼ぶ。
周りはそれぞれ自分達のことに夢中で、特にこちらを気にする様子もない。
振り向いたケントにマンガを掲げて見せ、一緒に読まないかと誘えば、ケントは嬉しそうに笑った。
「それ、知ってる。面白いよな。」
立ち上がり、近寄ってきたケントが俺の前の席の椅子を引いて、そこに座る。
隣に来るかと思っていたため、普通に開いていたマンガの向きを慌てて回転させた。
90度になったそれは少し見にくくなったけど、そんなことよりも真正面に座ったケントがついつい気になった。
「大垣もこういうの好き?」
「え?あ、お、おう…」
マンガに視線を落としたまま、「すき」と動いたケントの口元に何となくどきどきしてしまう。
その後も何か話し続けるケントに、俺が返す返事はどれもあいまいなものばかり。
そして俺は、今更ながらケントを誘ったことを後悔するのだった。
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結局マンガに集中出来ず、その内容もよく分からないまま、次の友人に回すはめに。
(俺、これと似たマンガ、結構持ってるよ。貸そうか?)
(ぅえっ、?)
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嘘つき、ロンリー。