空軍少佐と猫
―…この間は楽しかったわ。
―…こちらこそ素晴らしい時間をありがとうございました、マダム。
―…いやぁ、本当に助かったよ。また何かあったら頼めるかな?
―…はい。いつでも気軽に声掛けてください。
―……あの話、裏が取れた…
―…そうか。どうだった?やっぱり俺が言った通りだっただろ?
―…次こそは勝つからな!
―…ははっ、それはどうだろなぁ。
世間話から仕事の話まで。
時折隣から漏れ聞こえて来る会話に耳を傾けながら、グラスの酒を呷る。
入れ替わり立ち替わる話相手は今、何人目になるだろうか。
「また今度、ゆっくり話を聞かせてくれるかい?」
「えぇ、喜んで。」
そして最後の老紳士を見送ってようやく、ケントがこちらを向いた。
「それで、何の話だったっけ?」と小首を傾げる様子に、煙と共に溜息を吐き出す。
そんなもの、生憎俺も覚えちゃいない。
「今のじいさんは?」
「前にスポンサーだった人だよ。」
話し通しで喉が渇いたのか、グラスの水を口に少し含むケント。
それに合わせて喉仏がゆっくりと上下し、どこかで誰かが息を呑むのが聞こえた。
どうやらまだ、ケントの隣を狙っている輩がいるようだ。
それも、ただの『おしゃべり』が目的ではなく。
だが一足遅かった。
「待たせたか?」
掛けられた声に自然とケントは笑みを浮かべる。
それは先程までの愛想笑いとは明らかに違うもので、一層強まる視線らを鼻で笑ってやった。
「いいや。マルコが付き合ってくれたおかげで、退屈はしなかったよ。」
「お前を一人にすると、ふらふらと誰かに付いて行ってしまうからな。」
「豚を番犬代わりにするんじゃねぇよ。」
思わず不平の声を上げたものの、すでに自分達の世界に入ってしまった二人には届かない。
特にフェラーリンはやって来て早々、人目も憚らずケントの首元に顔を埋めた。
「何だ、もう酔ってるのか?」
「あぁ、…」
言葉の続きは聞こえなかったが、大体想像はつく。
さらに二言三言、フェラーリンがその耳元で囁くとケントは擽ったそうに身をよじった。
「じゃあ、責任持って酔い醒ましにでも付き合おうか。」
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あなたに酔う、
(馬鹿馬鹿しいとまた酒を呷り、)
(交わされる口づけを見て見ぬフリ)
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リクエストありがとうございました!
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嘘つき、ロンリー。