空軍少佐と同期
「…失礼。」
慣れない愛想笑いもそろそろ限界。
化けの皮が剥がれる前に、と俺はその場を離れることにした。
(これだから面倒なんだ…)
参加して何度目かになる社交の場。
ようやく最近馴染んできたが、何度参加してもその趣旨はいまいちよく分からない。
着慣れているはずの軍服がやけに息苦しく、その首元をほんの少し緩めて溜息を吐いた。
とりあえず義理は果たした。
そろそろ辞しても構わないだろう。
そう歩きながら主催者の姿を探していると、それを見付けてしまった。
(あ…)
思わず足を止める。
(フェラーリン…そういや今夜は参加するって言ってたか…)
だったら端から奴の傍にいれば、もう少し楽が出来たかもしれない。
なんて苦笑していると、その話し相手に視線が移る。
(見たことがあるな……あぁ、あれは確か、)
上官のご令嬢。
ならここで声を掛けるのは控えておいた方がいいかもしれない。
そう思い、再び歩きだそうとした瞬間、不意に目が合った。
(精々頑張れよ、と…)
からかうような笑みと共に送る手信号。
この距離なら十分届くはずだ。
そして「俺は帰る」と続けようとして、その前にまさかの返答があった。
「?……っ!」
フェラーリンの手が動き、女性の方は不思議そうに首を傾げる。
「?何かしら?」
「いいえ。つい友人の姿を見かけたものですから、少し挨拶を…」
恐らく、そんなやりとりが後にあっただろう。
だが残念ながら俺はそれを見届けることなく、逃げるように会場を後にした。
赤くなった顔を隠すのに必死で、主催者への挨拶も忘れてしまっていた。
signal
(それはいつも、耳元で囁かれる言葉)
---------------
83500hitより。
キリリクありがとうございました!
戻る
嘘つき、ロンリー。