姫の師と元賊


「あー…ちょっとそこ行く旅人さん。悪いこと言わねぇから、この道行くのは止めときな。何でも、質の悪い賊が出るって話だぜ?まぁ、それって俺のことなんですけどね!ヒャハッ!」









男と言うには幼い顔付き。

少年と呼ぶには見事すぎる剣捌き。


出会ってからもう随分と経つというのに、相変わらずどこか危なげなバランスの青年を見て、ユパは嘆息した。


「っとと、お師匠サン。ボサッとしてっと、一緒に切っちまうよいっとね。」


進歩したと言えば、己を『師匠』と認識していることだろうか。

冗談のような口調と共に振り下ろされた剣を紙一重で避ければ、背後にいた賊の一人が断末魔を上げる。


「…ケント。」

「はいはいっとね。何でしょかい?」

「むやみやたらと斬り捨てるな。加減を覚えろと言ったはずだが…」

「賊に情けを掛けるってな?お優しいねぇ、お師匠サンってば。でもこいつら、蟲どもと同じでさぁ、っと。」


からからと笑いながら、ケントは逃げていく最後の一人に飛び蹴りを噛ました。

ぐえ、と潰れる声。


「殺しても殺しても、湧いて出てきやがんだからねい…」


そして逃げぬように背中を踏みつけたまま、剣を、


「ケントっ!」




ザンッ、と地面に突き立てた。


「…あっは、大丈夫大丈夫。俺だって学習しやすよ、うん。むやみやたらに切らない、殺さない、手加減する、うんうん。分かってますって。俺ぁもう賊じゃあない、今はお師匠サンの弟子だかんね。」


無邪気に笑うケント。

その足下の賊はどうやら気絶してしまったらしい。


辺りに目を向ければ阿鼻叫喚が広がっているが、確かに死人はまだ出てはいない。


「さぁさぁ、お師匠サン。先を急ぎやしょう。」


厄介な者を拾ってしまったものだ、とユパは再び嘆息した。




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男と言うには幼い顔付き。

少年と呼ぶには見事すぎる剣捌き。


(ただ惜しいと、そう思った)



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嘘つき、ロンリー。